表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
106/445

皇帝権限奪還 第98話 皇帝護衛隊5


 帝都出撃当日未明。ここはドール城内。

 

 エリー達は中庭戦闘後、城内に入り摂政アイクルを求めて移動していた。城内での抵抗はほぼ無く、エリーの姿を見て直ぐにほとんどの者は畏敬の念を持って従った。


 エリーの横に並び歩いているビアがエリーを見て言う。

「アイクル摂政は逃げ出すでしょうか?」

 

 エリーは直ぐに言う。

「今の情勢なら逃げずに対処してくるでしょうね。もし議会が掌握され自分が罷免されたとわかったらどうでしょうか? 議会のほうはどうなっていますか」


 前にいる小隊長が答えた。

「議事堂には入られたようですが、まだ時間が掛かるようです」


 エリーは少し嫌な顔をして言う。

「こんな夜中に議会開催大変ですね。議員の皆様に同情致します」


ビアが立ち止まりエリー達を制する。

「ここより奥が摂政派閥の居住区です。警戒して進みましょう」

 

 エリーは電撃棒を伸ばし準備する。ビアも電撃棒を伸ばして魔力を通して戦闘に備えた。エリーの前には傭兵部隊分隊が先行して警戒しながら進む。


 そして突然廊下の先にひとり男が現れる。「エラン陛下、この騒ぎはなんですか? えらくぶうそうな者どもを連れていますね」

 エリーは顔を確認してエランの記憶帯からその人物を引き出す。

「どうされたのですか? カオロ先生はなぜこのようなところにおられるのですか」

 エリーはその男に話し掛けた。

「陛下、私は摂政殿の護衛担当ですよ。ここにいるのは当然ですよ。しかしこれ以上先にはそのような者どもを連れて行かれては困ります」


 エリーは神眼を発動して魔力量を上げる。(この人! かなりやれる)

「小隊長! 下がって! かなりの手練です。銃では通用しません。後方で支援して下さい」

 この男は皇帝剣技指導役、兼摂政護衛担当カオロである。


「陛下、どうされたのですか? 私と一戦交えるとでも? ですがいつものように手加減はしませんよ。もしかすると怪我ではすみませんよ」

 カオロは笑みを浮かべる。そして腰の魔導剣を素早く抜いて構えた。

 エリーは魔力量を上げて薄紫色に体が輝き包み込んだ。

 カオロはそれを見て顔が一瞬強張り言う。「ほーーう、陛下は私を騙していたのですね。やはり王家血統者は伊達では無いのですね。ですが魔力量が高くても剣技は直ぐに身につくものではありませよ」


 カオロは飛び出して距離を詰めるとエリーに上段から斬撃を入れてくる。エリーは足を引いて上体を逸らしそれを交わすと、すかさずカオロの胴体に鋭い突きを入れた。カオロは直ぐに上体を捻って交わし応酬の斬撃を放った。エリーは右方向に電撃棒を振り抜き斬撃をいなす。カオロは直ぐに後方に退き間合いをとる。

 

「陛下、驚きです! なんと別人のような身のこなし。どうしたらこうなるのですか?」カオロはエリーを見据えて魔力量を上げる。


 エリーは魔力量を一段階上げて電撃棒を構える。カオロはそれを眉を顰めて言う。

「あなたは誰ですか? 陛下ではありませんね。陛下がこのようなはずが無い」

 エリーは薄笑いをして声を上げる。

「あなたは、何を見ているのでしょ! このエランがわからないのですか」

 そして魔力量をもう一段階上げた。エリーの体はさらに光を増した光に包まれる。それを見てカオロは驚き後ろに下がり声を上げる。

「陛下! あなたは覚醒したのですか? 命を削るような厳しい修練を経て到達する領域・・・・・・」


 エリーは顔を傾ける。

「覚醒? そういえば警備隊の人も言っていたような」


 カオロは顔に汗を浮かべ魔導剣に魔力量を上昇させ剣身が白色に輝き出す。

「もはや、出し惜しみしていては陛下には及ばぬと理解しました」


 カオロは剣を下段右斜に構えると猛烈な速度でエリーに突撃して来た。そして一気に魔力を乗せた斬撃を放った。エリーは電撃棒を下に振り抜き剣をいなして、飛散した魔力攻撃は魔力障壁シールドを展開して防いだ。飛散した魔力攻撃は周囲の壁や天井を破壊した。

「やるな、敵にしておくには勿体無いね」

 エリーが言葉を漏らした。


「陛下、はっきり申しますが、今の剣撃をいなされたのでは、私にうつ手はほぼ無くなりました。ほんとにとんでも無いお方です。私が弟子入りしたいくらいですよ」

 カオロは引き攣った顔をしてエリーを見ている。


「なら弟子入り歓迎致しますよ。本当ですよ」エリーは電撃棒を右斜上段に構えた。


 そしてエリーはさらに一段階魔力量を上げる。エリーを包む紫色の光が濃ゆくなる。

「陛下! 私を仕留めるためにどこまで魔力量を上げるつもりですか? 城を粉々にでもするおつもりですか!」たまらずカオロが声を上げた。


「しょうがないですね、最終奥義で行かせてもらいます」カオロが魔導剣に全身の魔力を注ぎ込む。


 エリーはすかさず反応して魔力量を増大させ周囲に魔力障壁を展開した。次の瞬間カオロが左斜めに強烈な斬撃を放った。エリーはすぐさま飛散魔力を魔力障壁シールドを部分展開して打ち消し周辺に被害が及ばないようした。そして一気に電撃棒に魔力を集中させカオロに下段から掬い上げる。カオロは魔導剣で受けよとするが圧倒的魔力量に押されて魔導剣ごと押し込まれ後ろに弾き飛ばされた。

 

 カオロはよろめきながら一旦かろうじて立ち上がりエリーを虚な目で見て言う。

「恐ろしいほどの強さです・・・・・・」

 そしてカオロは一気に前に倒れ込んだ。


「全ての魔力を使い切ったようですね。生体反応はあるので死んではいません」

エリーはすぐさまカオロに駆け寄り抱き起こす。

「意識はないようですね」

 エリーは手を上げて声を上げる。

「救護担当者いますか? いればこの方に処置をお願いします」


 後方にいた傭兵分隊員が駆け寄って来てエリーを見て言う。

「はい、確認しますので」

 エリーは分隊員と替わってカオロから離れた。


「では奥を目指しましょう!」

 エリーが声を上げた。


 そして奥の突き当たり摂政のいる区画に到着した。エリーは周辺を感知して言う。

「静かですね。不気味です」

 

 傭兵分隊員が摂政執務室のドアを開ける。感知スキルでは部屋の中にはひとりしかいない。エリーは電撃棒を構えてゆっくり部屋の中へと入った。



最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ