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皇帝権限奪還96 皇帝護衛隊3

帝都出撃当日未明。


 ここは帝都ドール城、中庭。エリー達はランカーⅡで降り立ち戦闘が始まろうとしていた。

 エリーは電撃棒を正面上段に構えて声を上げる。

「小隊長! とりあえず防御体制を取り発砲はしないでください!」


 後方の傭兵部隊小隊長が直ぐに答える。

「はっ! 了解致しました! 我々は後ろで待機します」


 エリーは全身の魔力量を上げる。そして神眼スキルで通路出口を確認する。(先ずは銃先制攻撃か?そのあとは剣で突撃して来るパターンのようですね)


 摂政直属警備隊と思われる集団は中庭へ突入すると両サイドの花壇に展開して身を潜めると一斉射撃して来た。

〈ズダダダ、パン、パン、ズダダダ、ズドドド、パン〉警告も無く容赦無くライフルを複数人が連射して来た。


 エリーは身を屈め前面に魔法シールド展開してやり過ごした。そして立ち上がると右足を蹴り出し飛翔するように一気に右側の花壇へ飛び上がり右斜に猛烈な斬撃を放つ。花壇の後ろにいた8人ほどの兵士達が宙を舞い後方の壁に叩きつけられた。左側の花壇にいた兵士達が驚愕の表情で見つめている。吹き飛ばされた兵士達は蠢き立ち上がれる気配は無い。

 

 エリーに対し左側の兵士達が各々慌てたように発砲する。〈パン、パン、パン、ズドドド、パン〉

 銃弾はエリーの体の直前で潰れボトボトと花壇の土の上に落ちていく。それを見た兵士達は驚き指揮官らしき男の方まで後退した。

 

 エリーは兵士達に微笑み声を上げる。

「あなた達! 私が皇帝エランと知っての狼藉よね。なら容赦無くやらせてもらいますよ!」


 警備隊の指揮官が声を上げる。

「皇帝陛下がここにおられる訳がない! 皇帝陛下の名を語る不届者が死を持って償え!」

 エリーがそれを聞いて笑い声を上げる。そして警備隊に向かって言う。

「あなた達の目は節穴ですか? この姿を見ても認めないとは愚かな」


 エリーは中庭の照明の当たっているところに移動して、警備隊兵士達に姿を晒した。


 エリーの容姿を見た警備隊の兵士達が動揺し始める。

〈エラン陛下ではないか?〉

〈陛下がここにおられるはずはない〉

 警備隊兵士達が口々に動揺して言葉を発した。


 後ろにいるビアが叫ぶ。

「ジルバ隊長あなたはなんと愚かな! もはや陛下は引けぬ状況です!」


 エリーはエランの記憶帯から対峙している人物の名前を引き出す。そして声を上げる。

「警備隊隊長ジルバ大佐、あなた私を認めないなら容赦しませんが、それでよろしいのですね」


 ジルバ隊長は若干目を動揺させて言う。

「エラン陛下はここにはおられません! 侵入者を処分するだけです」

 そう言って周りの将兵に指示を出す。

「銃では通用せん! 魔導剣を使え!」


 兵士達がライフルを地面に置きそれぞれ剣を抜き始める。


 エリーはそれを見て魔力量をさらに上げる。

「理解しました。あなた達はどうあろうと認めない、そう言うことですね」


 エリーは電撃棒にさらに魔力を通した。電撃棒がさらに光が拡大して迸り始める。エリーは微笑み言う。

「では参ります」

 そう言って上体を一旦沈め、一気に警備隊兵士達と距離を詰める。警備隊兵士達は剣を構え防御体制をとる。エリーは距離を詰めると凄まじい斬撃を右から振り抜いた。

ジルバ隊長の前にいた兵士達5人が横に吹き飛んでいく。それをジルバ隊長は驚愕の表情で見つめながら慌てて後ろへ退いた。

 

 ジルバ隊長の横にいた兵士が叫ぶ。

「化け物! 人間じゃない」


 エリーはそれを聞いて少し嫌な顔をして言う。

「皇帝は強者だから皇帝なのよ。今更わかってももう遅いでしょ」


 ジルバ隊長が目を見開いて声を上げる。

「魔法量が多いのは把握していたが、剣技がここまでのレベルとはまるで歴戦の戦士のような・・・・・・」


 ジルバ隊長の横にいる士官が声を荒げて言う。

「ジルバ様! 私にお任せを!」


 エリーはエランの記憶帯から名前を引き出して士官の顔を見て言う。「少しは出来そうな感じですね? ダン少佐でしたか」


 剣を構えた士官が機嫌悪そうに言う。

「黙れ! 皇帝の偽物が! 俺の魔導剣を受けて見ろ!」

 そう言ってダン少佐は剣を中段左斜めの構え魔力量を上げ剣に通す。

 エリーは神眼でダン少佐を視感して魔力量と身体能力を見極める。

(まずまずのようですが、あの剣が厄介そうですね。魔導増幅回路が内蔵されているようです。身体強化を一段階上げたほうが良さそうですね)

 そしてエリーは魔力量を上げる。そしてエリーの体が薄紫色の光に包まれ輝きだした。

 ジルバ隊長がエリーを見てダン少佐に呟く。

「ダン注意しろ! 陛下は覚醒されている。最初から全力で行かぬとお前が返り討ちにあうぞ」

 ダン少佐はさらに魔力量を上げて魔力を全身に通した。ダン少佐の体が白色の光に包まれた。エリーはそれを見て嬉しそうに言う。

「本気ですね! 嬉しいです。ではあなたが負けたら私に服従を誓いなさい。私が負けたら命を差し上げましょう!」

 

 ダン少佐は機嫌悪そうに言う。

「あゝ、それで構わない」

 そう言ってエリーの前に一気に距離を詰めると中段から上方に斬撃を放って来た。   

 エリーは上体を後ろに逸らしそれをスレスレで交わした。すかさずエリーは牽制の斬撃を入れダン少佐を後ろに退かせた。


 後ろで見ている近衛兵団士官がビアに話し掛ける。

「陛下はとんでもないお方だったのですね。噂とは当てにならないものです。王家の血統者とはやはりとんでもないと思いました。今まで陛下は実力を隠され、ひたすらわがまま娘を演じられていたそう言うことですね・・・・・・」

 それを聞いてビアは戸惑った顔する。

「ええ、確かに血統者の力はものすごいですね」(でも、ここにいらっしゃるのは妹君ですけどね。言えないけど)そしてビアは苦笑した。


 エリーはダン少佐が、一度仕掛けて来てからずっと距離をとって詰めて来ないことに少しイライラしていた。

 エリーがダン少佐を見て声上げる。

「ダン少佐! さっきの威勢はどこにいったのですか? 早くけりをつけましょう」

 ダン少佐がエリーを見て機嫌悪そうに言う。

「なぜ剣を使わない! そのようなおもちゃでいつまで俺とやり合うつもりだ!」


 エリーは呆れたように答える。

「ダン少佐、私が真剣を使えばあなた腕や足そして命が無くなりますよ。私の実力をまだ理解していないのですか」


 エリーは不思議に思っていた。(いつもならある程度魔力量をあげれば、相手は恐るか敬意を示すのに・・・・・・おかしい? あゝ、そういうことなの。私がお姉様の魔導波動を纏っているから本来の力が隠蔽されている?)

 エリーは嫌そうな顔をして言う。

「ダン少佐が来ないなら、私から行かせてもらいますよ」そしてエランの魔導波動を解除して魔力量を上げた。エリーを包む光はさらに濃いい紫色になり輝きを増す。


 それを見たジルバ隊長とダン少佐は驚愕の表情を浮かべ後退りする。

 ジルバ隊長が呻くように声を上げる。

「・・・・・・陛下は、伝説級の大魔導師レベル・・・・・・、ここまでの力をお持ちとわ、もはや我々では手に負えぬ」

 ダン少佐は一気に魔力量を限界値まで上げるとエリーに向かって猛烈な速度で飛び出した。

 ジルバ隊長が叫ぶ。

「やめろ! 死ぬぞ!」

 飛び出したダン少佐の魔導剣がエリーに届いたように見えた瞬間、エリーの凄まじい払いがダン少佐の魔導剣を外へ弾き飛ばした。そしてダン少佐は宙を舞い後ろの柱に叩きつけられた。〈どーーっ! うげーーっ!〉鈍い音がしてダン少佐が地面に落ちた。それを瞬きせず見ていたジルバ隊長は視線をエリーに移し表情を変えると剣を持ち替え剣を自分の首へと運んだ。

 エリーは叫び瞬時にその剣を弾き飛ばす。

「死ぬな! 己から死ぬことなど許しませんよ。死ぬなら戦って死になさい!」

 エリーは再びエランの魔導波動を纏って言う。

 ジルバ隊長は悲しげな表情を浮かべ言葉を発する。

「陛下、私はあなた様を陛下と認めました。もはや私に残された選択は死しか無いのです。エラン陛下に対し剣を向けることは出来ません」

 

 エリーは微笑みジルバ隊長を見て言う。

「なら私に切られなさい。そして新しく生まれ変わりなさい。新しいジルバとしてね」そしてエリーはジルバ隊長に電撃棒を振り下ろした。ジルバ隊長はその場に崩れ落ち白目を剥き口から泡を吹いている。


 残っていた警備隊兵士はエリーの前に跪き頭を下げる。

「陛下! 我々にも死を賜りたくお願い致します」

 エリーは少し意地悪顔をして言う。

「あなた達は上官の命令に従っただけでしょ! 罪は免じます。よって今後、私に絶対服従を誓いなさい」

 それを聞き警備隊兵士達がはさらに頭を下げる。涙を流している者もいる。

「はっ! 陛下に忠誠を誓い命を捧げます!」警備隊兵士達は5人ほど残っていた。エリーが倒した全員、命に別状は無いことを伝えると驚いていた。


 エリーが後ろに向きを替え手を上げる。

「みなさん! 終わりましたよ。それでは中に移動しましょう」


 ビアがエリーに駆け寄り言う。

「エラン陛下! お見事でした。流石です」

 エリーは近衛兵団士官を見て声を上げる。

「警備隊の介抱処置をお願いしますね」

 

 近衛兵団士官はエリーに駆け寄り跪き言う。

「陛下! 承りました! 陛下は危害を加えた者にも慈悲を施されるのですね。感銘を受けました」


 そしてエリーは頷き声を発した。

「それでは、中に参りましょう!」

 エリーの前に完全武装の傭兵分隊員が展開してドール城内部へと入って行く。




最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!


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