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皇帝権限奪還 第95話 皇帝護衛隊2

エリーはついに帝都ドール城に乗り込んだ。

 帝都出撃当日未明。


 ここはアンドレア領帝国国境付近、アンドレア防衛隊基地。

 

 エリーは出撃前最後の打合せを終えて、ランカーⅡ2号機のキャビンにいた。2号機にはエラン、トッド、セリカ、ビアその他ブラウン商会の傭兵部隊員が乗り込んでいる。そして下部の搭乗カーゴスペースには一個小隊の部隊員が搭乗していた。


 そして共通無線が機内スピーカーから聞こえる。

〈こちらはブルーベリー1号! 只今より! 全機出撃! 各機順次離陸せよ!〉


 2号機機長ビアンカが声を上げる。

「各員ベルト装着確認! 離陸します!」


 地上の誘導員が誘導照明灯を振って2号機離陸指示を出している。ランカーⅡ2号機はプロペラ出力を上げ徐々に上昇して行く。ビアンカ機長がインカムで機内アナウンスをする。

『只今より帝都ドール城へ向け飛行致します! 現着予定! 0230! なお天候は概ね良好の予報! 以上!』


 ランカーⅡ2号機は可変翼角度を変え高度を上げて行く。全機離陸完了後、7機のランカーⅡは編隊を組み帝都ドールを目指し進路を取った。


 エリーはベルトを緩め、座席に深く座り目を閉じて少し仮眠を取ろうとしていた。そこへ隣りのエランが話し掛けてくる。

「エリー・・・・・・、緊張しないの?」


「う・・・・・・ん、大丈夫。お姉様も少しでも寝ておいたほうが良いよ。着いたら寝る暇なんて無いからね」

 エランは頷き呟く。

「エリーは凄いですね。これから大変なことをしようとしているのに、余裕がありますね」

「余計なことは考えないようにしてるからですかね。寝ますよ」エリーはそう言って目を閉じた。そしてエランもエリーしばらく見つめてから目を閉じた。


 それからエリーは、うつらうつらしながら40分ほど軽い睡眠をとった。

 ランカーⅡ2号機内にビアンカ機長のアナウンスが流れる。

『ドール市上空にまもなく突入致します! 各員窓のシャッターを閉めて下さい! 各員ベルト着用確認願います! なお雲が立ち込めており下方視界不良! 機体の揺れ振動に備えてください!」


 エリーは座席ベルトを締め直してエランを見ると強張った顔をしている。

「エランお姉様、もっとリラックスして下さい」エリーはエランの右手を優しく握って言った。

「ええ、大丈夫です。いよいよですね」

 

 エリーはエランに微笑み嬉しそうに言う。

「ええ、久しぶりのドールですからワクワクしますよ」


 今回7機のランカーⅡは重装機兵を積載した5号機、7号機はドール市郊外に一旦降りて待機する。残りの5機はドール市各所に要員を下ろして上空で監視待機する予定となっている。


 エランが不安そうに言う。

「元老院議員の招集が不安ですね。こんな時間に集まるのでしょうか? 決議出来ないと大義を失います。私が強権で排除した形にはしたくありません。今後の政局運営にも影響が出ますしね・・・・・・」


 エリーはエランを見て微笑み言う。

「大丈夫ですよ。段取りは商会が総力を上げて行なっています。商会のコネクションを舐めないで下さい。それより摂政一派の動きのほうが気になります」


 ランカーⅡが降下を始める。そしてエリーはエランの手を握って口を緩めてから言う。

「お姉様! いよいよ始まりますよ。お互い頑張りましょう!」


 搭乗員がコックピットからドアを開けキャビンに出て来る。そして頭を下げて声を上げる。

「エラン様、トッド司令、セリカさん降りる準備をお願いします! 着陸したら速やかに降りて下さい」

 

 そう言って搭乗員はコックピットに戻った。機体は旋回しながら高度を下げていく。ドール市の中央官庁街の広場に徐々に灰色の機体は高度を下げ降りて行く。着地すると直ぐに搭乗員が搭乗ドアを開けタラップが下される。機体の周囲にはすでに商会手配の帝国軍将兵が一個中隊ほどいた。それを見て一瞬エランが強張った顔するが、トッドが肩を優しく叩き言う。

「大丈夫です。味方ですよ」

 エランはトッドに振り返り言う。

「はい、ありがとうございます」

 そしてエラン、トッド、セリカと数名の傭兵部隊員が2号機から降りて行く。

 エリーは搭乗口から3人を手を振り見送った。

「エリー様、席へお戻り下さい」

 搭乗員がエリーに申し訳なさそうに言った。

「あゝ、ごめんなさい」

 エリーが席に戻ると搭乗員はタラップを収納しドアをロックする。

「ドアロック完了確認!」

 搭乗員が声を上げると、ビアンカ機長が声を上げる。

「離陸します! 各員ベルト着用確認願います!」

 ランカーⅡ2号機は直ぐに上昇を開始する。そしてビアンカ機長が声を上げる。

「3分で城の中庭に降ります! ご準備をお願いします!」


 エリーは魔力を全身に通してエランの波動を再現する。後ろにいるビアに声を掛ける。

「ビアさん、お願いしますね」

 ビアは緊張した顔で答える。

「はい、お任せ下さい」

 

 ランカーⅡ2号機はドール城中庭上空でホバーリング、先ずカーゴスペースの完全武装の傭兵部隊員をロープで周辺に下ろした。そして高度を徐々に下げて着地した。

搭乗員が素早くドアを開けタラップを下ろす。エリーとビアが直ぐに降りると、搭乗員が声を上げる。「ご武運お祈り致します!」そう言うとタラップを収納ドアを閉めた。そしてランカーⅡは直ぐに上昇して行く。エリーは手を挙げて見送る。


 エリーはビアを見て言う。

「それでは参りましょう!」

 ビアは直ぐ頭を下げて言う。

「はい、エラン陛下」

 エリーは腰のホルダーから電撃棒を取り出して魔力を通す。電撃棒は白色の光に包まれる。そしてスキル神眼を発動左目が赤色に変色する。

(城の中が若干騒がしくなっているみたいだね。まあそうだよね)

 エリーは傭兵部隊小隊長を見て言う。

「予定通り、2個分隊は私と一緒にお願いします。残りは周囲の警戒をお願いしますね」


「とりあえずここである程度片付けますか」エリーは嬉しそうに言った。

 そして直ぐに中庭にドール城警備の近衛兵団将兵が10人ほどやって来た。近衛兵団士官が声を上げる。


「何者か! 武器を捨て直ちに投降せよ!」後方の兵士達はライフルを構えエリー達を狙っている。

 ビアが前に出て声を上げる。

「近衛兵団飛行艦隊、大尉、ビアだ! 貴様ら誰に銃を向けている! エラン陛下の御前にも関わらず無礼にも程がある!」

 そしてビアはエリーを見て跪く。近衛兵団士官はエリーを見て顔を引き攣らせて言う。「エラン陛下! なぜこのようなこと・・・・・・」言葉を詰まらせて跪き頭を下げる。後方の兵士達は混乱している様子で顔を見合わせて何か喋っている。

 近衛兵団士官が兵士達に指示を出す。

「エラン陛下である! 全員銃を下げて礼を取れ!」


近衛兵団士官は顔を上げエリーを見て言う。

「ご無事のご帰還、本当よかったです。言葉もありません。ですがこの騒ぎは理解できませんが」

 エリーは前に出て跪く近衛兵団士官を見て微笑み言う。

「私は摂政殿に殺され掛けたのですよ。用心してこのようなことになったのです」


 近衛兵団士官は少し動揺して言う。

「摂政様に殺され掛けた・・・・・・、そのようなことがあろうはずが?」

 エリーは直ぐに答える。

「実際にそんな目に遭ったにですから疑いようもありません」


 エリーの危険感知スキルが敵意を感知する。奥の通路からもうすぐ出て来る。人数は20人ほどいる。

 エリーが声を上げる。

「みなさん! 攻撃に備えて身を隠すか姿勢を低くして下さい!」


 ビアが前に出ようするとエリーが肩を引っ張り押さえる。

「ビアさん話し合いは無理だよ。やる気満々だからね。ビアさん出たら死んじゃうよ」

 ビアが背後に下がり言う。

「摂政の直属警備隊と思われます。注意して下さい」

 エリーは頷き魔力量を上げる。そして電撃棒を上段正面構え、通路から集団が出て来るのを待つ。


 エリーは嬉しそうに呟く。

「どうやら、期待出来そうですね」

最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます! これからも、どうぞよろしくお願いします。

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