皇帝権限奪還 第94話 皇帝護衛隊1
大陸広域戦線編
エリーは帝都急襲作戦準備を進める。
エリー機動大隊現地配備、15日目夜。
ここはアンドレア領帝国国境付近、アンドレア防衛隊基地。
エリーはレンベルTYPEⅡの全てのシステムチェックを終わらせ、カシム技官とコックピットフレーム上で話していた。
「失礼ながら、エリー様がここまで優秀とはびっくり致しました」
カシム技官がレンベルTYPEⅡの接続端末を操作しながら言った。2人とも疲労感のある顔をしている。エリーはダレた顔でカシム技官を見て言う。
「そりゃ・・・・・・、間に合うように頑張りましたよ」
カシム技官は、慣れた手つきで端末接続ケーブルアダプタを外しコックピット内に収納した。
「エリー様、お疲れ様です。これでシステムチェックは完了です。しかし、うちのチームでも十分通用するレベルですよ。開発チームに来て欲しいくらいです」
カシム技官は端末を抱えてエリーに微笑み言った。エリーはそれを聞いて少し嬉しいそうに言う。
「お褒めいただきありがとうございます。一応レンベルの技術整備ファイルは全て記憶しています」
それを聞いてカシム技官が少し驚いた顔をする。
「普通はそこまではしないですよ。パイロットの場合、応急処置マニュアルくらいじゃあないかと思いますが」
「そうですね。でも知識があればいざという時役立つと思います」
エリーはそう言って昇降タラップを降りて行く。エリーがレンベルTYPEⅡから離れると、商会の作業員達が機体に搭載用固定フックを取り付け始めた。
エリーは食堂ブースへと向かっていると、後ろから誰か駆け寄って来た。
「エリー様! お疲れ様です」
エリーは立ち止まり振り返るとモニカだった。エリーの前で頭を下げて言う。
「わたくし、本日より帝国に復帰致します」
エリーはモニカの顔を見て言う。
「モニカさん眼帯外したの? 帝国に復帰するって?」
モニカはいつもの眼帯をしていなかった。そして微笑み言う。
「エラン様に護衛隊隊長に任命されました」
エリーは首を傾げてモニカを見て言う。
「話が良くわからないのですが? 食事をしながらお話しをしてもらえますか」
エリーは少し疲れた表情で再び歩き出した。隣にモニカも並んで歩く。
「エリー様、申し訳ありません。エラン陛下の護衛隊新規編成に伴い隊長に任命されました。それにより私は、セリカ マクガイヤに戻ります」
エリーは歩きながらモニカの横顔を見て言う。
「ハリーさんの提案ですか?」
「はい、そうです。体制が安定するまではとのことです。副隊長はビアさんです」
「そうですか。了解しました。でもやっぱりセリカさん綺麗な顔してるね」
モニカ改めセリカは少し嬉しいそうに言う。
「ありがとうございます。眼帯は偽装とはいえ少し嫌でした。外せて良かったです」
「エランお姉様の側で警護よろしくお願いします。これでマクガイヤの汚名返上も出来るのですね」
エリーは食堂ブースに入ってテーブルの椅子に座った。セリカはエリーの隣りに座る。調理担当者がエリー達のテーブルにやって来て頭を下げて言う。
「エリー様、オーダーはどのようになさいますか?」
エリーは顔を傾けて調理担当者に言う。
「軽いものでお願いします。スープだけでも良いです」
「では、チキン野菜スープと味付きライスでよろしいでしょうか?」
「はい、それでお願いします」
エリーはセリカを見て微笑む。
「セリカさんは?」
セリカは少し慌てて答える。
「エリー様と同じものをお願いします」
調理担当者は頭を下げて言う。
「はい、承りました! 時間を20分ほど頂きますがよろしいでしょうか?」
「はい、お願いします」
エリーは直ぐに微笑み答えた。そしてエリーはテーブルに肘をつき、両手に顔を乗せてだらけ緩んだ顔になって言う。
「今日は疲れました。充足の時間が必要です」
セリカがエリーの顔を見て少し悲しそうな顔をする。
「・・・・・・とても、いつもの可憐なエリー様からは想像出来ない酷い状態になっていますが」
エリーはセリカに顔を振り言う。
「うん、セリカさん勘弁してもらえますか。いつも100パーセントなんて無理だよ。緩める時は緩めないといざという時力が出ないんだよ。女神スキルの副作用みたいな感じかな?」
セリカがエリーに質問する。
「今回上手く行くと思われますか?」
エリーテーブルに顔を伏せたまま答える。
「それは、わからない。イレギュラーはあるかもね。まあ、失敗すればお姉様を連れて脱出するだけだからね」
「エリー様の力を持ってしても、成功しない場合があり得るとは思えませんが」
セリカが微笑み言った。
「私はね女神様の力をずっと持続出来ないんですよ。だからモードを切り替えて対応しているんですよ。マナエナジーは無限に吸収出来るけど私の体の処理に限界があるんです」
セリカが少し慌てて言う。
「もし限界を越えたらどうなるのですか?」
エリーはだらけたまま答える。
「そうだね。最悪魔力爆発で熱反応を起こして周囲は消滅ですね。まあ、そこまで行くことは、まずあり得ませけどね」
「そうなのですね・・・・・・」セリカはそう言うとエリーの頭に手をやり髪の毛を優しく撫でた。
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