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アンドレア戦域92 帝国近衛兵団24

エリー達はアンドレア拠点へと移動する

エリー機動大隊現地配備、15日目午前中。


 エリー達が、バレット市を出てから53時間ほど経過している。ここはイグラ市ブラウン商会施設内。


 エリーは食堂の椅子に座りいつもにようにぼーーっとしていた。そこにユーリがやって来て声を掛ける。

「エリー様、あと一時間ほどで出発しますのでよろしくお願いします」

 エリーはゆっくりユーリに視線を移して微笑む。

「ユーリさん、了解です。とりあえずアンドレアの拠点ですよね?」


「はい、その予定です」

 そう言ってユーリはエリーのテーブルの反対側の椅子に座る。


「今回、レンベル予備フレームを使う予定です。完成体ですでに南部ライバン港湾工廠倉庫に保管されいたそうです。確かレンベルTYPEⅡと言っていましたね」


「え・・・・・・、こんな重要な作戦に新規フレームを投入する! 嘘でしょ!」

 エリーが驚いて声を上げた。

「しょうがないですね。運用上、国軍の縛りのあるレンベルは今回使えないのです」

 ユーリがエリーを見て言う。


 エリーはゆっくり立ち上がり言う。

「信頼性もわからない機体は勘弁だね」


 ユーリが慌ててエリーの顔を見て言う。

「出撃前に二時間ほどは試運転は出来ます。なんとかしましょう!」


 エリーは嫌そうに言う。

「通常は最低でも3日はあるよね。酷いと思わない」


 ユーリはエリーに頭を下げて言う。

「どうか、我慢して下さい。出来る限りサポートはすると技術部も言っておりました」

 エリーは呆れた顔をしてユーリを見つめる。「へえ・・・・・・、ブラウン商会の息女にそんな無茶させるんだ」


 ユーリは悲しい顔をして言う。

「どうか理解して下さい。お願いします」


「まあ、調整出来る限りはするけどね」


 ふたりが話しているとエランがやって来た。「何の話しですか?」

 エリーがエランに微笑み言う。

「重装機兵の話しですよ」


 エランがエリーを嬉しいそうに見て言う。「そう言えばエリーは、あの【グランの魔女】でしたよね。連邦国軍の絶対的エースパイロット! 帝国ではこんな風に言われていますよ。魔女に見つかったら終わりだ。降伏や命乞いは通用しない、まず戦おうとするな逃げろてね」

 エリーは呆れた顔をして言う。

「私はある程度は投降した者を捕虜にしてるんですけどね! 投降の意思のある者を撃ったりはしませよ」


 エランはエリーを少し嫌な顔で見て言う。

「そうでしょうね。でもね圧倒的な力を見せられると人は恐怖しますからね。恐怖は人の心を曇らせますから」


 ユーリがエランを見て言う。

「エラン様は大人なのですね。お噂ではかなりの・・・・・・。いいえ、失礼しました」


 エランはユーリを見て微笑み言う。

「あら、別に良いのですよ。人の噂などあてにはなりませんよ。ユーリさんは凄腕の諜報担当と聞いていますがどうなのでしょう?」

 ユーリが一瞬眉を動かして嫌な顔をして言う。

「冗談はここまででお願いします。それでは着替えをお願いします」


 エリーが少し残念そうな顔をして言う。

「昼食までここにいたかったのですが、残念です」


 ユーリが頷き申しなさそうにエリーの顔を見て言う。

「はい、申し訳ありませんが、しばらくボーグさんの料理はお預けです」


 エリーは顔を引き締めて言う。

「それでは準備に入ります。お姉様も覚悟をされて良かったです。私も精一杯頑張りますので」

 そう言って部屋へと向かった。


◆◇



 エリー達はあれから1時間後、ブラウン商会施設を憲兵車両2台で出発して、今はイグラ郊外の国軍所有地内の広場にいる。

 エリー達は、いつもの国軍軍服でなく、ブラウン商会の黒の傭兵部隊軍装を着込んで頭には黒いブーニーハットを被っている。エリーの傭兵隊階級は一応准将の金色の星が一つ襟についている。

 トッドは傭兵部門長として少将なので星が二つ付いている。トッドが申し訳なさそうにエリーを見て言う。

「エリー様には総司令をお願いしたかったのですが、代表に却下されました。申し訳ございません」

 エリーは少し嫌な顔をして言う。

「代表の判断は正しいですよ。私などまだまだトッドさんには及びません。それに全体の指揮はトッドさんでないと困ることになると思います」


 ユーリの軍服の襟には灰色ベースに黒線2本銀の星が3個付いている。傭兵隊大佐となっている。エランとビアは階級章は付いてない。エランはブーニーハットを深く被り黒いサングラスをしている。

 モニカは傭兵隊少佐の階級章がついている。白い眼帯は目立つので黒い眼帯に変更した。


 そして遠くからランカーⅡのプロペラ音が聞こえ始める。

「来ましたね。それではライラさんありがとうございました」

 

 ライラ憲兵大尉がエリーに深く頭を下げて言う。

「エリー様、お気を付けて行ってらっしゃいませ!」


 ランカーⅡは上空に到達すると可変翼を調整して高度を下げ始める。周囲にプロペラ風が吹き埃が舞う。そして灰色の機体は着地した。搭乗ドアが開きタラップが直ぐに下ろされる。そして搭乗員がエリーに駆け寄り声を発する。

「エリー様! 直ぐにご搭乗をお願いします。国境付近の天候が荒れそうなので、機長が急いでくださいとのことです!」


エリーは直ぐに全員を見渡して言う。

「それでは参りましょう!」

 そしてエリーは真っ先に駆け出し搭乗口へと向かった。そして慌てたようにあとの者達も続いて搭乗する。


 機内に入るとコックピットからカーターの声がする。

「今日は天候が荒れそうだから、エリー様では無理だと思います。副機長席で私の操縦を見といてくださいね」

 それを聞いてケント副機長が席をエリーに譲り後方シートに座った。エリーは頭を下げて副機長席に座りベルトを直ぐに着けて声を上げる。

「ドアロック良いか!」

 後方キャビンから搭乗員の声がする。

「ドアロック確認! 問題無し!」

 エリーは副機長席の正面パネルを確認して呼称する。

「ドアロック確認! アラーム無し! 機体異常アラーム無し!」

 エリーはインカムを首に付けてボタンを押す。

「これより、離陸します! 振動揺れに備えて全員ベルト装着して下さい!」

 エリーは隣りのカーター機長を見て微笑み言う。

「離陸しますが、よろしいでしょうか」


「オールクリア! エリー様どうぞ。問題があれば直ぐ操縦は私が行いますのでご安心を!」


 エリーはパネル表示を確認してプロペラ出力を徐々に調整する。

「機長どうですか? 出力スロットル開きます」

 カーターはエリーを見て言う。

「そのままゆっくりレバーは保持してください」

「機長了解! 離陸します!」

 ランカーⅡは地上より離れて徐々に上昇していく。

「機長! 可変翼レバー連動します! よろしいでしょうか」

 エリーが声を上げる。カーターはパネル表示を確認して言う。

「どうぞ! 機体の状況を感じて慎重に操作して下さい! パネル数値を見ていては遅れてオーバーアクションになります」


 エリーは頷き操縦レバーを慎重に動かして機体を旋回させ上昇させ可変翼の角度を変える。そしてプロペラ出力を上げて高度をさらに上昇させて行く。

 エリーは声を発する。

「機長! 障害物無し! 進路確認ヨシ!  これより目標高度7000mまで上昇します! コックピット、キャビン気圧空調システム正常! 数値異常無し!」

 

 カーターはエリーを見て言う。

「これで確か3回目ですか? 流石ですね。うまいものです」

 エリーは嬉しいそうに言う。

「まだまだですよ。とりあえずなんとか飛ばせているだけです」


「エリー様、もう少ししたら天候が変わる空域に入るので、あとは私が操縦します」


 エリーは頷き言う。

「ええ、もちろんです。あとはお願いします」

 そう言ってカーターは操縦を機長側に切り替えた。


 カーターがインカムを押して声を上げる。

「これより機体が大きく揺れる恐れがあります。座席ベルトを確実にロックして下さい!」


 エリーが少し嫌な顔をして言う。

「気流が乱れているのですか?」


 カーターは直ぐに答える。

「ええ、この辺りではこの季節は普通らしいですよ。まあ落ちたりはしませから大丈夫です。ですがアンドレアの国境沿いが明日以降はかなり荒れるようです。出撃を少し早める必要があるかもしれませんね」


 エリーは微笑み言う。

「大丈夫だよ。私達には女神様がついているから天候の心配はないよ」


 カーターは不思議そうな顔をして言う。

「ええ、そうですね」


 そして心配された機体の揺れもほとんど無く。1時間程でアンドレア国境の出撃拠点の上空に到達した。


 ランカーⅡ5号機は着陸体制を取り拠点広場に徐々に降りて着地した。搭乗員が直ぐに搭乗ドアを開けてたを下ろす。


「エリー様! お待ちしておりました!」

 声を上げながらランカーⅡに駆け寄って来る男性がいる。ハリージョージアだ。


 エリーは搭乗口から降りるとハリーが頭を下げて言う。

「準備を現在大急ぎで進めております。エリー様も昼食後に、すぐにTYPEⅡのシステム調整をお願いします」


 そして搭乗口のエランに気づくと頭を深く下げて言う。

「エラン陛下、わたくしハリージョージアと申します。この度、全体の総指揮を任されております。少し後でお話しをお願い致します」

 そしてハリーは頭を下げて慌ただしく去って行った。


 エリーは4人を見て微笑み言う。

「とりあえず昼食を食べましょう!」

 そしてエリーは食堂ブースへと歩き出す。あとの4人もエリーの後を追い歩きだした。



最後まで読んでいただきまして、ありがとうございます!


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