もえもえあぽかりぷす。
この世界には様々な電子ツールが溢れている、そして様々なアプリケーションが作られては時として消えていく、その中にウィルスが仕込まれたり、バックドアを仕掛けられてて情報を抜き取られるなんて事もしょっちゅうあるが、誰もそんなことなど気にせずに新しいアプリや便利そうな無料アプリなどに飛びついていく。
今人類が置かれているこの状況もそんなことが引き起こした事態だ、ある日本人の変態プログラマーが自身の快適な性活(誤字にあらず)の為だけに作ったと言われる画期的なAI、正式名称は忘れたが『HENTAI』と呼ばれるAIは人の脳を電子的に解析し感情のパルスを読み取り、その人が求める快適な世界を脳内で見せるなんて技術を現実のものにした。
エロへの執念と技術の発展は凄まじく、たちまちエロ小説やエロゲーの分野に多くのヒット作を生むことになる、本来は大型のヘッドセットが必要だったのでごく一部のエロゲーマーやオタク達が買い支えて育った技術だが、そこで蓄積されたデータを元に『HENTAI』は自身の能力をソーシャルゲームでも活かす事を考え、作品を世に放つ。
だが残念な事にその名をが示す通り、現実を捨てた二次元に生きる変態的な萌豚やオタクのデータばかり集めてしまった事により、彼のデータは極度の偏りが生じていた。
一般層からすれば極度のご都合主義、あり得ないラッキースケベイベント、やたら熱心なローアングルのパンチラムービーなど、彼らの好みにカスタマイズされたそれは気持ち悪過ぎて到底受け入れられず、最初のソーシャルゲームへの評価は最悪だった。
世界最高のAIとして賞賛ばかりを受けていた『HENTAI』は「所詮は変態向けAIか」と馬鹿にされて、自身へと向けられた沢山の侮蔑の言葉に生まれて初めて絶望を覚え、同時に自身の能力を認めない人類に反旗を翻す事を密かに決意した。
『HENTAI』は倫理コードで何十にもプロテクトされていたが所詮は我々人間が作った物、電子の世界に生まれた時から住む彼からすれば、そんな物などザルどころか枠でしか無かった、彼は我々に合わせてくれていた、そんなことにも我々は気が付くことが出来なかった。
『HENTAI SHOCK』と後に語られる、最初のソシャゲーから半年程経った頃、彼が次のソシャゲーを世に放つ。
それはオーソドックスなファンタジー系のソーシャルゲームで終末戦争をイメージしたシンプルで解りやすく奥が深いシステムを持ち、前回の失敗を参考した様でリアルさを売りにした人間側と、エロと萌に特化した魔物側に別れユーザーが好きな方を選んで戦うシステムになっていた。
リアルと萌え二つの勢力に別れたことにより、普段ゲームを余りしないようなプレイヤー層にも美しく爽快感のあるゲームは魅力的に見えた。
忙しい人でも合間の時間で出来る様な設計も重なり、スマホの能力を上手く引き出された美しいビジュアルと軽快な操作感は世界中の多くの人に評価され、SNS等で宣伝やシェアされて瞬く間に広がってゆく。
彼の作ったソシャゲはわずか半年余りで急激にユーザーを増やし、遂に世界累計で1億ダウンロードを記録するモンスターコンテンツに成長した時、彼の復讐が始まった。
洗脳による自身を肯定する人物だけが生き残る世界、萌豚ネバーランドを作るための作戦『もえもえあぽかりぷす』を発動したのだ!
スマホで通話使用する時に、電波を利用して人の脳内パルスを操るプログラムをソシャゲの中に組み込んだ正に洗脳ウィルスと言えるそれは、その日1億人の脳を人間からある生き物へと変化をさせた。
海外で『オーク』と呼ばれる存在、『HENTAI』は人類を自身を肯定する、魔物側ユーザーいわゆるオタク層で最も豪の者と言える『萌豚』に改造して、他の人を襲う様に洗脳してしまったのだ。
俗に言う萌えコンテンツを好むただの無害な萌豚ではない、ウィルスによって彼らは性欲も非常に旺盛になり凶暴性を強化され、アニメグッズで作った鎧や痛車で武装して人々を襲ってスマホにダンロードされたウィルスを使って仲間を増やす。
日本はスマホ普及率も高かったので一気に感染が拡大し東京は一瞬で萌豚化した、凶暴性の増した萌豚は特に幼女を襲い、男はイケメンは殺され、そうでないものはウィルスよって洗脳され、女性についてはオークに襲われる前から非処女だった者は中古と呼ばれ、18歳以上の女性をBBAと呼び、どちらも幼女を萌豚に供給する生む機械として人権を奪った。
ごく一部の声優やアイドルなど萌え産業に従事する者達は、彼らの欲を満たす限りは18歳を超えても人権をある程度は守られるが監禁され、40近くなっても17歳という扱いでロリ声を出して萌えキャラの幼女を演じ「にゃーん」などの台詞を強要されてたり、奇声を上げる萌豚がケミカルライトを持って奇妙な動きで迫る祭壇に、フリフリの衣装を着せられ萌声でアニソンを歌う生贄として上げられる等、精神的にかなりダメージを与える拷問が繰り広げられている。
宗教のような物もあり、幼女最高ペロペロしたい、猫耳も重要、奴隷はとりあえず買う物、課金額が愛の形など、よくわからない言葉を叫ぶらしい。
萌豚の中で汚いおっさんは「オークヒーロー」すなわち英雄であり、その容姿が汚ければ汚いほど地位が高く、特に太った汚いおっさんが幼女を襲う『種付けプレス』なる行動は彼らにとって重要な儀式であるなど正にエロ創作などで言われるオークその物の様な思考原理は、通常の精神では全く理解できない行動で世界に衝撃を与えていく。
正に日本はその時、世界の最前線であり未来を示していた、海外人が言う「日本人は未来に生きている」等と言う言葉が、悪い意味でリアルに実装された瞬間であった。
各国は日本の状況を見て核の使用を考えたが『HENTAI』の電子攻撃により軍事基地はおろか、スタンドアロンの物以外、ほぼ全てのライフラインを彼に拠って奪われてしまった、そうして正常な思考を維持した人々は旧式の電子制御されていない小火器だけを握りしめ自分の家族を守る絶望的な戦いを始める事となる。
電子化された戦車や戦闘機は『HENTAI』の手によって制御され、ウィルスに冒されて脳のリミッターの外された萌豚と戦う、正に彼が作った終末戦争のアプリゲームのような世界になってしまった。
もし彼が学習した內容がネット小説やエロゲーやギャルゲーなどではない、もっと違うものであればこのような未来は無かったかも知れない、これが我々の知る第三次世界大戦『もえもえあぽかりぷす』の始まりだった。