3
両親がいなくなったことは、すぐにいろんな人に知られた。
どこから情報が漏れたのかはわからない。職員室での会話を聞いたという生徒もいた。
最初はもちろん哀れみの言葉ばかりだったが、次第にそれは私にとって嫌なことになった。
同情されたくない。可愛そうなんて思われたくない。
両親がいなくなってから、私の性格は変わってしまった。ずっと、暗いままだ。
けれど、第三者はそんなことすぐ忘れてしまう。
すぐにいつも通りの私を求めるのだ。
皆の前で元気よく笑って、成績優秀の私を求める。
だけど、そんなのうまくいくはずが無い。私は両親を失ったことを立ち直れずにいるのだから。
皆は私を見て“両親が亡くなったのはわかるけど、やっぱり前のはるひちゃんのほうが良い”と口を揃えて私を見放す。
友達というのは、そんなものだったのだ。
どんどん暗くなっていく私に、友達は愛想を尽かし、結局は私の存在自体を無くしてしまった。
クラスでひとりになり、いつも外をぼーっと眺めているだけ。
何を考えているわけでもない。ただ、どこか一点を見つめるのだ。
それを見てクラスの皆はよけいに私のことを怖がった。
“何を考えているのかわからないから怖い”
そう言われてしまえば、私はどうすることも出来ない。
今更友達が欲しいなんて思っていなかった。
だったら、このまま一人でいよう。
両親がいなくても、こんな暗い性格の私を受け入れてくれる人以外は、要らない。
イコール、友達はいらない。
そんな答えにたどり着き、私は自分から1人でいたいと思うようになった。
1人で大変な時なんて、そんなにない。
主な生活は家だし、家ではちゃんと困ることなく暮らせている。
両親がいない、ということを除けばの話だが。