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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

悪役令嬢は勇者様!?

作者: なつめ7484

あらすじでも書いたようにその場のノリで書いているのでしょぼいですが、よかったか見ていってください。

「おい、リリス起きろ。」


「ん〜?どうしたんだショウタ?昨夜はショウタが激しかったからまだ眠いぞ。」


「いや、なんか魔法陣が発動してんだけど」


「・・・」


 返事がない。ただのしかばねのようだ。


「って、寝るな!」


 漫才をしている間にショウタとリリスは魔法陣に飲み込まれた。




 




 ☆

 私はリリアント王国のアルシェント公爵家の長女、リサ・アルシェントです。


 最近、私の婚約者でこの国の第一王子のレオス・リリアント様に変な虫がついているんです。最初はただの政略結婚の相手としか思っていませんでしたが、レオス様の優しさに触れ、恋に落ちてしまいました。

 レオス様も私のことを好きと言ってくれて愛してくれていました。


 ……あの人が現れるまでは。


名前はアリア。家名もないただの平民だったのですが、魔法の才能を買われ、私やレオス様が通うこの学園に編入してきました。

 編入すると、彼女は瞬く間にレオス様や他の婚約者のいる有名な貴族の子息達の心をつかんで奪い去っていきました。今では学園で彼女の姿を見ると貴族の子息達が周りにいます。男の人が女の人をたくさん娶ることをハーレムと言ったりするので、さしずめ逆ハーレムといったところでしょうか。


 レオス様は彼女にご執心でなにを言っても効果がありません。なので私は他の婚約者を取られた令嬢達から相談を受けたのもあり、アリアに物申すことにしました。


 彼女が1人っきりのときを狙って


「人の婚約者を取らないでください。みんな迷惑しているのですよ?」


 すると、いつもの弱々しそうで守ってやりたくなるような感じの彼女からは全く想像のつかない高圧的な態度で

 

「は? そんなの取られる方が悪いんじゃない。あんたが私より可愛くないからとられるんでしょ?」


 私は唖然としました。全く想定外の事を言われて言葉が出ませんでした。そんな私を見下したような目でふんと鼻を鳴らして去っていきました。


 後日、そのことをレオス様に言うと、


「アリアがそんな事をするはずがないだろう!アリアはお前のことを友達と言っていたぞ?お前は友達を裏切るような奴だったんだな。見損なったよ。」


 冷たい言葉と視線をレオス様に浴びせられ、私は泣く事も出来ずにポカーンとしてしまいました。


 それから私は一切レオス様やアリアと関わりませんでした。もう一度レオス様からあの目を向けられると、本当に心が折れそうだったからです。








 ☆

 遠くでドンドンと足音が聞こえる。


「リサ様〜。起きてらっしゃいますか?」


 という声で完全に覚醒した。


 ここは?俺は確かリリスと一緒に寝てて、それで……、


「そうだ、魔法陣! あれに吸い込まれて、それから……」


それから思い出せない? 


「?起きてらっしゃるようですね。朝食の用意ができていますので、お顔をお洗いになっておこしください。」


「はい。分かりました。」


 反射的に答えてしまった。足音が遠ざかっていく。


「今はどんな状況なんだ?」


 見慣れない部屋のベットから立ち上がると、自分の目線がいつもより低いことに気づいた。部屋にあった鏡で自分の姿を見て絶句した。女になっていた。それも美少女に。ふわふわの金髪に青い瞳。卵型の顔。


「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁああああ!?!?」


 思いっきり叫んでしまった。

 外から走ってくる音が聞こえ、ドアが激しくノックされた。


「リサ様!?どうかされたのですか!?」


 やばい、人が来た。おそらくさっきの人だろう。とりあえずごまかしておこう。


「すいません。ゴキブリが出て、取り乱してしまいました。」


「! 大丈夫ですか?」


「はい。殺して外に捨てたので」


「なら良かったです。」


 心底安心した様子でドアの前から去っていった。危ない危ない。なんとかなった。


 状況を整理しよう。俺は青山翔太。異世界に召喚されて勇者になっただけのただの高校生だ。いや、もと高校生か。


「そうだ!リリス。確かリリスも巻き込まれてたはず。」


あの魔法陣は俺たちが寝ていたベッドを中心に発動していた。ならいっしょにいたリリスもどこかにいるはずだが……。


 リリスとは魔王だ。本当なら俺の倒すべき相手だが、訳あって恋人になり結婚した。俺達が人類と魔族の架け橋となり共存できるような世界を作った。最初は反発もあったものの、今は比較的平和な世の中になっていた。勇者の仕事も終わり、魔王城でリリスといちゃラブライフを満喫していた時にことは起こった。


「これは俺がこのリサって子に転生したって考えていいのか?でも、勇者チートは普通に使えるみたいなんだよな…」


 前の世界の俺の相棒をイメージしながら腰に手をあてる。すると光の粒子がだんだん集まってきて一振りの剣になった。それを鞘から抜き放った。太陽の光を浴びて七色の光を放つ純白の聖剣は魔を打ち滅ぼす俺が授かったチート能力の一つだ。


「ウォーターボール」


 省略した呪文を唱えると、水の球体が現れた。

 魔法もチートも普通に使えそうだな。体も重くなったとかはないから、肉体のチートも健在だろう。この分だと戦闘面には困らないだろう、しいて言うなら少しリーチが短くなったくらいか。これはおいおい慣れていくしかなさそうだ。


 しかしこれ、たぶんこの体の持ち主の記憶だよな? 

今、頭の中には俺、青山翔太としての記憶と、リサ・アルシェントとしての記憶がある。が、人格は俺でリサのはきえてしまったのだろう。

……なんか悪いことしたな。


「腹減ったな。とりあえず、朝食を食べに行くか。」


 洗面所をしばらくさまよいながらも発見。洗顔の任務を無事完了し、ダイニング?らしき所へ行くと、俺を起こしに来たらしきメイドが朝食を用意していた。


「遅かったですね。どうされたのですか?」


「すいません。ちょっとゴキブリがショックで」


 追求されたのでまたごまかす。リサの記憶があるのでリサの振りをして会話しなければいけないのがめんどくさい。女口調は抵抗があったが幸いリサは常に敬語だったようだ。


 メイドは温かい笑みをうかべて


「分かります。次出た時は私を呼んでください。退治しますので。」


「ありがとう。アリシャ。」


 このメイドはアリシャといってリサが幼少のころからリサ専属のメイドだったようだ。


「さぁ、朝食を冷めないうちにどうぞ。」


「そうですね。」


 貴族らしい高級な朝食を堪能した。





 ☆

「お前とは婚約を破棄させてもらう!アリアにした数々の悪行。物を壊す程度なら婚約者だったから見逃してやっていたが、階段から突き落とすなどアリアを直接傷つけるのは断じて許せん!」


 どうしてこうなった?あれから学校に行かなければならかったから、下着を死ぬほど恥ずかしいも思いをしてはき、制服に着替え、学園に来てみたら、どうやら今日は卒業式だったらしい。

校長の長ったるいお話から式は始まり、国の王様やら大臣やらのありがたい演説を聞き流し、ようやく卒業証書の授与に移った。最初にステージに上がったのはパツキンのイケメンだった。そいつは、証書を受け取ると、ステージから降りずに俺たち生徒が座っている方へ少し時間をもらうと高らかに宣言した。眠気が限界で最前列でヘッドバンキングをかましていた俺の、いやリサの名前が呼ばれた。そして、最初に戻るわけだ。もう一度言おう。


 ど う し て こ う な っ た ?


 というか、まず最初に出た疑問だが、誰だこいつ。


「おい!なんとか言ったらどうなんだ?!」


 と俺が座っている方を睨みつけてきた。

リサの記憶を探ってみると、どうやらこの国の王子らしい。で、リサの婚約者。確かこのバカ王子はリサがアリアとかいう女をいじめて階段から突き落としたっていう話だったか。

そんな記憶は一切ないんだが。なんかビッチ臭がする女、おそらくアリアだろう。に注意したらしいけどその前後にリサはいじめどころか自分からアリアを避けてたみたいだ。

そりゃ、婚約者寝取られた相手なんか顔も見たくないよな。アリアは他にもいろいろな男をたぶらかしていたらしい。

……まじで見た目通りのくそビッチだなこりゃ。


 あきれて何も言えない俺を見てドヤ顔の王子の顔面を殴りたい衝動をこらえていると、前の方に座っていた1人の女子生徒が立ち上がった。


「待ってレオス様!あまりリサ様を責めないであげて。婚約者がいると知っていながらレオス様に恋してしまった私が悪いの。」


「アリア。あんな女のことをかばう必要はないよ。君は自分を傷つけた奴もかばうなんて。なんて心優しいんだ。それに比べてお前は!」


 芝居がかった台詞を吐くのは逆ハーを形成していたくそビッチの化身、アリアだった。

 うそくせぇ。さっき記憶を探った時にアリアの裏の顔の記憶も見つけた。


 なるほどわかった。これは悪役令嬢物か。地球でWeb小説を読んだことがある。で今は俺が悪役令嬢と言うわけか。まぁチートあるし殺されることはない。俺的にはこのまま婚約破棄されたほうが都合がいいのだが。そしてこのバカ王子がいる未来のない国から傷心に見せかけ、脱出する案もあるにはあるのだが、リサには故意ではないとはいえ、体を奪ってしまった負い目がある。とりあえず国を出るのはリサの冤罪を晴らしてからでも遅くはないだろう。


「なにか証拠はあるんですか?」


 はっきりと呆れを滲ませながら反論した。


「なんだその態度はっ!!」


「だから証拠を出せって言ってるんです。私の態度なんて関係ないでしょう?」


「アリアかお前にされたと言っている」


「は?」


 なにを言っているんだこのキチガイ王子は。馬鹿なの?死ぬの?そんなの証拠になるわけないだろうに。小学生でも分かるぞ? 


「他の目撃者がいるなら別として、そんな物が証拠になると本当に思ってるのですか?」


 反論すると、またバカ王子が怒り出した。


「アリアが嘘をつくはずないだろう!?この後に及んでまだ言い逃れようとするか!」


「そうです!いい加減認めてください!」


 なんかアリアが便乗してきた。


 王様やリサの親、アルシェント公爵の方をチラッと見るとやれやれと呆れたように首を振っていた。この場で王子側の人間はほとんどいないだろう。本人達が勝手に盛り上がって周りが全く見えていない。こんな奴に国を任せて大丈夫なのか?


「この場のほとんどの人が分かってると思いますけど、私はやってません。婚約破棄したいならどうぞご勝手に。好きなだけそこの女とイチャついて下さい。」


「な!?王子の俺に向かってなんだその態度は!不敬罪だ!お前達その女を捕まえろ!」


「おい!レオスッ!やめろ!」


 さすがに王様も止めたが聞く耳を持たない。


 こいつまじでやばいだろ…。とち狂ってやがる。

てか、なんで私兵用意してんだよ……。記憶によれば、リサは魔法では相当優秀だったらしい。やけを起こして暴れるのを恐れたていたのかもしれない。それか最初から何かしらの罪を着せて幽閉する気だったのかもしれない。


 王子の私兵らしき集団が会場に入ってきた。俺を捕まえようと迫ってくる。

 ……潮時かな。


『動くな』


 1人を除いて会場の全ての生物の動きが止まった。俺はただ言葉に魔力を乗せて放っただが、これは誰でも出来る。魔力で威圧しているだけだからだ。これは自分と同等かそれ以上の実力を持つものには効かない。よってここには俺より強いものはいないということになる。


「お前、何を、した。」


「黙れ、クソ王子」


「!」


 俺の口調が変わったことで会場が凍りついた。


「お前みたいなのが跡継ぎならこの国は近いうちに滅びそうだな。どうでもいいけど。」


 硬直から開放された1人の兵士が襲いかかってきた。何を思ったのか剣で切りかかってきたのでしゃがんでかわし、地面に手を着いて顎を蹴り上げる。スカートがめくれて、パンツが見えるが、正直1度履いてしまえば中身は男なので見られても恥ずかしくなかった。


最初の兵士に続いてほかの兵士の剣を抜いて襲いかかってきたので、素手で無力化した。弱い。


「なっ!?俺の兵士が!なぜ今まで戦えることを隠していた!?」


この王子ほんと頭おかしいんじゃないんだろうか?


「俺がお前に教える義務あるか?」


「婚約者なんだからあるだろう!」


俺の一人称が変わったことにも気づいていない。


「その婚約を破棄したのはそっちだろう」


「うるさい!!黙れ!!」


とうとう王子がヒステリーを起こしたようだ。


この場をどうやって収めようか考えていたら、後ろから声を書けられた。


「もしかしてショウタか?」


はっとして振り向く。その名前を知ってるのはこの世界にいないはずだ。リリスを除いて。


振り向くとそこには、黒髪で黒い瞳の中性的な顔立ちの男がいた。髪を伸ばしているので女の子みたいだ。いわゆる男の娘というやつか。


「なぜその名前を知っている?」


「やっぱりそうか。……私だ。リリスだ。」


半ば予想はしていたが、素直には信じれなかった。


「ほんとにリリスなのか?」


「ああ。これが証拠だ」


と魔王に代々伝わる魔剣をアイテムボックスから取り出した。リリスもアイテムボックスを使えたし、この剣は確かに本物だ。


「ほんとにリリスなんだな?本当に?…」


リリスは俺に抱きついてきた。


「ショウタ!会いたかった。こっちに来たら男になってるし、ショウタはいないし、不安でしかたなかった」


とうとう泣き出した。


「俺も会いたかった。……好きだよ。リリス。」


「グスン。私もだ。」


愛を確かめあって、俺はリリスにキスをした。初めてリリスとキスをした時のように甘く溶けそうだった。時々漏れるリリスの吐息がさらに俺を熱くさせる。


口を離すと、涙目のとろんとした目と目が合う。男なのになんでこんなに可愛いんだ。


まわりが唖然として俺達を見ている。


「そろそろ離れようか。周りがついてきてない」


「それもそうだな。」


名残惜しそうな声で仕方なくリリスが離れる。今更顔が赤くなるのを感じる。


「お、おい!これはどういうことだ。お前!浮気してたのか!」


「お前が言えたことじゃないだろう?」


「ぐっ!!」


なんだこいつ。自覚してたのか?


1人の男女が俺達の方に近寄ってきた。


「リサ!よくもまぁアルシェント家に泥を塗ってくれたなぁ!最初の茶番はいいとしても、なんだその男は!」


「それになんですかあの口調は!自分のことを俺と呼ぶなんて」


この人たちには説明しないといけないだろう。リサの親なのだから。いくら子供を道具としか考えていなかろうと。


「すいません。今の俺はリサであって、リサではないんです。」


「は?何を言っているんだ?」


「黙ってきいていてください。」









「今、リサの体の中には君、ショウタが入っていて。リサだがリサではないと。……にわかには信じられんが」


「そうです!リサは悪魔に取り憑かれているんです!」


「お前は黙っていろ。」


お母さんはアルシェント公爵に一喝されてしぶしぶ黙った。


「ということなので、リサさんには悪いですがこの体は俺が自由にさせてもらいます。」


「お前はどうしたいのだ?」


「さあ? とりあえず、俺はこいつと一緒いられればどうでもいいんですが……。」


と言い、リリスと向き合う。


「リリスはこれからどうしたい?」


「私はお前と一緒にいられるならなんでもいい。」


「なら、冒険者にでもなってのんびり暮らさないか?」


リリスは嬉しそうにはにかんだ。


「そうだな。それもいいかもしれないな。」


「じゃあとりあえずここから出ようか。『転移テレポート』」


リリスの手を握って呪文を唱えた。










その後この2人は世界で3人しかいないSSSランクの冒険者になり、大陸中にその名を轟かせた。

読んで下さりありがとうございました。他にも後日談や主人公とヒロインの馴れ初めとかも書いていくので良かったらそちらも見ていってください。

コメントを残していってもらえるとありがたいです。

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