1、文章作法 【一人称小説と三人称小説の違い】
一人称と三人称の違いがはっきり浮かび上がったはずです。
違うのは、視点人物の主観が文章になったものか、視点人物を客観で見た際の姿かたちが文章になったものか。
言い換えれば、役者側からの物語か、製作者側からの物語か、ということでもあります。
演じる本人たちなら、内面に突っ込んで喜怒哀楽を如実に描き出すことが出来ます。すなわち、“心理描写”に長ける。
撮る側たちなら、全体を俯瞰して出来事を写実的に描き出すことが出来ます。すなわち、“情景描写”に長ける。
これが双方の持つメリットです。
長所短所というものは得てして表裏一体の面を持ちます。
この場合のデメリットも、メリットの裏返しです。
すなわち、一人称小説では視点人物が見たもの感じたことしか書けないわけだから、必然的に情景描写が書きづらくなります。
一方、三人称小説では外面なら幾らでも見えるけど内面まで踏み込むことが出来ないから、直接的な心理描写が出来なくなります。
これがデメリットです。
どちらも気をつけるのは、視点人物をむやみに動かさないこと。
どちらが優れているというのはなく、どちらを筆にするのがその物語にとって相応しいか、です。
じゃあ、その選び方の基準は?って言うと、描きたい物語に結構左右されます。
恋愛小説のように、登場人物の一喜一憂、喜怒哀楽がメインとなって物語を成す物語を描きたいのであれば、心理描写が起伏のメインとなることが多くなります。
一人称小説の得意分野です。
ファンタジーやSF小説であれば、非現実的な出来事、あるいは世界観などが物語の重要なファクターとなりますので、外側から物語を見つめて描く機会が増えます。
三人称の得意分野でしょう。
もちろん、人間ドラマを三人称で、複雑な世界観、設定を一人称で書くことは出来ますが、部分部分で書きづらいといった障害が生まれてしまうはずです。
絶対的にデメリットが存在しますからね。
だからといって、途中で人称を切り替えては駄目ですよ?
最初の一文字を書く前にどんなストーリーかを把握して、それにあった筆として人称を選択しておくこと。
これが何よりも大事です。
以上が一人称小説と三人称小説の違いとなります。
次回は、一人称と三人称の中間となる書き方である『自由間接話法』について講座いたします。
どうぞお楽しみに。




