4、世界観、設定 【背景】その2
背景の必要性、十分に認識できたと思いますが、まだまだこれだけではありません。
背景があるモノとないモノ、その間には大きすぎる開きがありました。
読者を納得させるだけの説得力ですね。
これがないと、作者のご都合主義小説に成り下がってしまいます。
そうならないために、背景を勉強する必要があります。
まずは、種類について。
設定背景、世界背景、キャラ背景、ストーリー背景の四つです。
前項で例として挙げたのは、設定に関しての背景ですね。
小説とは、「存在しないモノを形作る」作業でもあります。
作者が考え出したオリジナリティある案を、如何にして現実っぽくさせるか。
それが背景の役割。
魔法だろうと科学だろうと、存在しないモノを出すのは自由ですが、説得力ある背景を作って設定をそれらしく見せてください。
続いて世界背景。
世界観の根本です。
小説では、どのような世界であるかを読者に伝え、わかってもらう必要があります。
だからといって、プロローグ的に「時は西暦20XX年、地球は未曾有の危機に見舞われた」とかって始まりはいただけないです。
それらは、小説内で物語の一部として読者に提示するものであって、いきなり読者に押し付けるものではありません。
そして、上記の「時は~」って一文が、実は世界背景であったりもします。
簡単に説明すると、この下りは「小説内の現在」を語る上で欠かせない内容、という含みがあるからです。
その未曾有の危機によって、その後の環境破壊や世界の崩壊や人間社会の破壊が起こり、現在はどういう状況であるのかを示しているわけですね。
巨大隕石落下により、引き起こされた観測不能の地震で日本がほぼ沈んだ、というのが小説世界の現在だとすれば、巨大隕石落下というのが「現在」を構成する最大要因である背景となります。
細かくすると、巨大隕石が落下するという出来事にも、さらに背景を築くことが出来ます。
突然の月の爆発によって、破片の一部が地球の引力に引き寄せられたものであるとすることも出来ますし、さらにさらに、なぜ月が爆発したのか、という背景にまで及んでいくかと思われます。
背景は背景を呼び、リアリティある世界観というものは築かれます。
上記の背景が抜け落ち、ただ日本がほぼ沈んだ世界観であることだけを提示した小説だったとしたら、それはもうどうしようもないくらいお粗末な世界観に思えません?
背景の作りこみが有る無しで小説の完成度が決まるといっても過言ではありません。
物語の舞台となる世界観では特に背景を重要視してください。
続いて、キャラ背景行きましょうか。
登場人物にだって、過去はありますよね。
そのキャラの性格や信念、行動理念などを築き上げたエピソードというのが背景となります。
何度も言ったけど、キャラ=人間ですから、例えば、何の理由もなく引き篭もりになったりしません。
引き篭もる切っ掛けになる出来事というのが必ず存在するはずです。
長年片思いしていた女の子に、ついに振られて人間不信に陥った、でもいいです。
背景を作ってあげるだけで、そのキャラに人間味が生まれます。
目の前で死にそうな人がいるのに、何事もなかったように無視するのは人間的ではありませんが、そういう考えに至る背景が過去にあったというのならアリです。
以前に同じような状況で人助けをしたら、完膚なきまでに裏切られて傷付いたことがある、とかね。
上記の背景もなしに、このキャラは冷徹な性格だからこう行動するのが正しいって作者が思って動かしていたら、読者は納得しません。
人間的に描くためにも背景を形作ってあげてください。
最後にストーリー背景。
キャラ背景に似通っている部分もありますが、例えば殺人事件というのは何も突然起こるわけではありません。
それが引き起こされるに至るエピソードというものが存在するはずです。
殺意が湧き、実行に移してしまうほどの恨みを持つ出来事があり、それが引き金になって殺人事件が起こる、というように。
上記の場合に関して言えば、殺人動機こそが殺人事件のストーリー背景になりますね。
こうして見ると、背景がどれだけ小説の全体的な部分にまで及んでいるのかがわかるかと思います。
世界観の章でありながら、キャラにもストーリーにも絡んでます。
小説の基礎としては、この項目は外せないです。
十分理解して、小説に組み込んでください。




