4、世界観、設定 【背景】続き
【気功】
気功術を得るには筋肉を鍛える必要がある。
筋肉とは、繊維状の筋細胞たる筋繊維が寄り集まったものであり、その性質のことなりによって二種類に分けられる。
縮む速度が速く疲れやすい『速筋』と、縮む速度が遅く疲れにくい『遅筋』の二種類。
速筋は瞬発力に富み、遅筋は持久力に富んだ。その特性から、速筋を発達させれば短距離走に適し、遅筋を発達させれば長距離走に適することが解る。
武術であれば、いかにも速筋が重要そうであるが、気功術では遅筋を重視する。
その理由は、遅筋繊維の中に存在する細胞、ミトコンドリアによる。
酸素を取り込むことで糖質を酸化し、生化学的エネルギーを生産するミトコンドリア。
この生化学的エネルギーを、特殊な呼吸法で練り込み、爆発的に発したものが気功である。
遅筋繊維が太くなれば太くなるほど、体内の発電所と呼ばれるミトコンドリアも数を増し、多くの気が練られる。
設定表を読んでみたら、こんな風に書いてありました。
遅筋を鍛える鍛錬法なんかまで細かく練ったと思います。
ただ単に気功が使えると書かれているよりも、こうした背景が存在すると、リアリティが増しませんか?
上記のミトコンドリアは実際に存在する細胞ですし、生化学的エネルギーを生み出すというのも科学的根拠がすでにあります。
だからこそ、説得力がある背景になるのです。
私はただ『生化学的エネルギー』を『気』という言葉に置き換えただけ。
背景のしっかりした設定や世界感、キャラクターは実に理解しやすいです。
小説は一つの世界を作るものですが、その世界の法則を作るのも作者の仕事です。
魔法が存在するのはいいですが、どうして存在するのか、どうやって生まれたのか、そしてどうすれば使えるのか、背景を定めてあげてください。
読者を納得させられない小説は、とてもみっともないです。
最低限の背景だけでも形作ってください。




