4、世界観、設定 【舞台】
小説の舞台は現実そのものではなく、作者の作った仮想現実であることが多いです。
仮想現実とはいえ、ある程度、小説の世界は現実とリンクした要素で構成されると思います。
物語を動かすキャラ(人間)は必須ですし、生き物が存在するなら生態系も確立され、ありとあらゆるものが森羅万象の恩恵を授かって生命活動を行っているはずです。
そうした、キャラが動くための舞台である『世界観』や『設定』と呼ばれるものに関して、この章で説明していきます。
どんな物語であるかは、どんな世界であるかで大きく違います。
物語の舞台となる“世界”の作り方について考えていきましょう。
小説を書くというのは、一つの世界を作るということに他なりません。
世界はどんなに小さくても、どんなに大きくても構わないです。
例えば、六畳一間の狭い部屋だろうと、物語がその部屋の中を動き回るだけで事足りるのなら、それは一つの世界です。
監禁された部屋から脱出するために奮闘する物語など数限りなく存在するかと思いますが、まさしくその小説の舞台は閉ざされた部屋だけ、となります。
狭い世界でも、キャラが存在し、目的を持って行動するのならば物語は動き、小説として成り立つのです。
舞台とは、すなわち物語が動くための世界という意味合いになります。
現代日本が舞台であったり、未来の地球が舞台であったり、あるいは作者が作り出した異世界が舞台であったりもします。
大事なのは、その舞台が一つの『世界』として成り立っているか、です。
例えば、過去の日本が舞台の小説があったとします。
当たり前のことですが、過去というのは実際に存在した時間軸です。
ですので、存在した出来事を捻じ曲げる行為は好ましくないですが、小説は仮想現実の世界……面白いなら捻じ曲げようと、捻じ折ろうと好きにやっちゃえばいいんです。
世界を作るのも小説なら、出来事を作るのも小説。
とはいえ、過去を舞台にするからには、史実を史実として盛り込んで『過去の世界』を形作る必要性があります。
その過去が戦国時代だったとしましょう。
戦国時代を舞台に書くなら、世の中を動かした諸国の大名や武将の存在を無視するわけにはいきません。
戦国時代を描くのだから争いに荒れた時代背景というものを書かなければならず、それは織田信長や豊臣秀吉といった戦国の覇者の存在を明らかにすることで、リアリティを添えることに繋がります。
過去を背景として戦国時代を舞台として小説を描く場合には絶対的に必要なことです。
過去があるのは、時代だけではありません。
人や物にすらあります。
異世界で魔法が当たり前に存在する世界なのに、ライターや井戸があったりしたらおかしいですよね。
火や水を自力で生み出せないから、そのための道具や仕掛けが生み出されます。
魔法で生み出せるのに、わざわざ道具や仕掛けを欲するわけがありません。
例えば、善人しかいない国があったとしたら、その国に罪を罰する法律は存在しないでしょう。
舞台が定まったら、物語はその内に収めなくてはなりません。
定めた舞台を飛び出すような物語にするんだったら、その枠を広げて世界を大きくする必要も出てきます。
舞台は物語を立体的に見せるものであると同時に、一つの制限でもあります。
物語の規模と、その舞台の広さを調整しながら小説を形作ってください。




