3、ストーリー構成 【カタルシス】
小説には人間心理というものが付き物です。
登場人物の心理もそうだけど、読者にも心理があります。
今回はその読者心理がどうやって盛り上がっていくかをカタルシスという言葉を軸に説明していきます。
そもそもカタルシスとは何か。
【カタルシス】
詩学、心理学で『浄化』を意味する言葉。
簡単に言えばこれ。
でも、これ以外に諸説あるみたいなので、そこら辺にも軽く触れていきます。
ギリシア語のカタルシスは元来は医学用語で、薬剤を用いて吐瀉や下痢を起こさせることをいうものです。
体内から出す、という意味合い。
これに対し、かの有名な哲学者アリストテレスは、悲劇の効果の一つとしてカタルシスを論じています。
これは、悲劇的内容の創作物が見る者に恐れや哀れみといった情緒を与えることで、日ごろ心に鬱積していたそれらの感情を放出させ、心を軽快にするといった作用を指しています。
最後の説は精神学。
抑圧されて無意識の底に留まっているコンプレックスを精神分析によって原因を明らかにし、外部に導き出してあげることで症状を消失させる精神療法の技術、となります。
どれも似たような意味合いですが、小説的カタルシスとして全てを総括した形で【抑圧からの開放】という意味合いを用います。
カタルシスの定義的なものが出来ました。
では、これが小説にどう関係あるのかに言及していきましょう。
まずは「抑圧」について。
心理学において、自我の欲求が外部の条件によって阻止されることを抑圧と言います。
すなわち、やりたいことに対してやっちゃダメって言われたり、出来ない状況に陥ることです。
ダメって言われると余計やりたくなるのが人間心理で、心理学的にも「カリギュラ効果」という名前があったりします。
今回はカリギュラ効果の説明ではないので、気になる方はお調べくださいませ。
とにもかくにも、欲求は人それぞれで、また種類も豊富です。
モチベーションの項目で、キャラには何か目的を作ることが大切だと申し上げました。
小説においては、その目的を達成するための行動の最中に立ち塞がる障害、これこそが抑圧になりえます。
彼女と結婚したい、でも父親が許さない。
これ抑圧。
じゃあ、開放は?っていうと、父親に許してもらえるようにすることですよね。
俺より強い男にしか娘は嫁にやらん、って言うなら倒すことで目的達成に至り、抑圧の開放になります。
物語の起伏として、緊張と緩和という言葉を出したと思います。
構造的な言葉にすれば、抑圧⇒開放、抑圧⇒開放という展開を指す言葉でもあります。
カタルシスを得ることで、抑圧されて膨らんだ欲求が満たされた精神は、満足感と共に快感をも覚えます。
大事なのは最後。
この満足感、快感にも繋がる開放感がカタルシスの効果です。
つまり、起伏の正しい構造は、抑圧⇒開放⇒快感になります。
読者が快感を得るための抑圧であり、解放であると理解してください。
度々、障害が必要だと言っていたのはこの為です。
障害が多ければ多いほど、高ければ高いほど、解決した場合は快感の程合いも高くなります。
哲学でもあり、人間心理でもあるって言うんだから、難しいかもしれません。
読者が快感を得るための仕組み、という形でカタルシスを紹介しました。
目的を持つキャラに対して、障害とそれを乗り越えるための努力をストーリー構成に盛り込むことで、こんな効果があるんだということを覚えておいてください




