3、ストーリー構成 【起】
起は小説の「世界観」を伝えるべき出来事を起こし、物語の幕開けとする部分です。
この時点で読者を惹き込む要素が存在していないと、即座に読者は離れていってしまいます。
気をつけなければならないことは、情報を伝えることに執着して、世界観をつらつらと並び立てないようにすることです。
一つ文を読んでもらいます。
西暦20XX年、世界は枯渇した資源を巡り、紛争に明け暮れていた。核の脅威に晒された諸国は有限な資源すらも放射線塗れにされ、人の住めない地が日増しに増えていった。
よく見かけたりするかもしれませんが、こういう文は小説的始まりとしては評価出来ません。
始まり部分ですから、まず世界観をわかってもらうのは重要なことですが、こういう説明的な文で始められると読者に理解を強いることとなり、必然読者は嫌がります。
小説は、設定を読んでもらうものではありません。
作者が一生懸命練った設定は、物語の中で描写を交えつつ読者に伝えるものです。
説明的な文章を控え、小分けして少しずつ読ませていくのが始まりに相応しい文章だと思います。
建物は崩れさり、人がいない滅びた街を描き、違う場面ではわずかな食料を奪い合う姿を見せて描写してください。
さて、世界観の提示は少しずつが基本ですが、もう一つ「起」の部分で重要なのが「惹き付け」です。
読者に興味を持ってもらえる要素、というのが存在しないとなりません。
では、読書欲をそそる要素とは何か?
一つは、やはり謎ですね。
今後の展開はどうなるのだろう、謎に対する答えは?
などと思わせる出来事を起こせたら勝ちです。
読み捨てる行為などせず、先へ先へと読み進めてしまうのが人間心理です。
一つは、インパクト。
とても考え付かないような突拍子もない出来事(世界観でもキャラでもいい)を序章で繰り出して読者をあっと言わせるのです。
自然と小説の世界に引き込まれてしまいます。
読み始めは、やはり一番大事。
しっかり読者の心を鷲掴みにして、先が気になる展開を作っておかなければなりません。
仮に結末がその小説の一番いい部分だとしても、序盤に面白みを感じなければ、そこまで読み辿り着くことがない、ということもあります。
無料で読める携帯小説なら、なおさら。
作者が一番最初に力を注ぐ場所であり、命運が託される場所でもあります。
何度でも書き直すつもりで、「読者を惹き付ける」書き出しに全力を尽くしてください。
※ここからは伏線とする部分です。※
能動的モチベーションと受動的モチベーションという項目を設けて説明する予定ですが、物語内で起こる核となる事件は少しでも早く起こすのも『起』の役割です。
難解なトリックを目玉とする殺人が核となる事件が、50ページ読んでもまだ起こらないとどうなるでしょう?
キャラに動機付けも出来なければ、読者が求める事件もない。
「もうちょっと先だから我慢して読んで‼」とは言えませんよね。
読者を焦らすのは、事件を起こしてからです。
早めに出来事を起こしてあげてください。
【起のまとめ】
1、世界観、設定を説明で押し付けはせず、描写していく。
2、読者を惹き付ける要素として、「謎」や「インパクト」を用意する。
3、事件を早めに起こし、主人公のモチベーションを確立する。