2、キャラクター理論 【キャラ配置】
キャラには一人一人に役割があります。
主人公、ヒロイン、ライバル、エキストラAという大まかな括りでも構いません。
大事なのは役割をしっかり果たしてもらうことと、その領分を逸脱しないこと。
名もなきコンビニ店員のはずが、主人公の役目を奪ってしまっては物語が狂ってしまいますよね。
もちろん、役割を与えるのは他ならぬ作者だから、意図的にならともかく、役割を間違えるはずもないでしょうが。
この、役割分担のことを私は【キャラ配置】と言います。
例えば、主人公のモチベーションとして絶対の正義を掲げましょう。
人を騙すのが当たり前のような暗い世界の中で、それをヨシとせずに相手が強者でも真っ向からぶつかり合える信念の持ち主。
つまり、主人公なりの正義をビシッと描くことが役割であって、その外の、例えば悪を描こうとしても反対の性質ゆえに直接的に描写することが出来ないんです。
必要悪やら絶対悪やらを、正義を描くことで浮き彫りにすることは出来てもそれは否定でしかない。
そうなると、悪を担うための敵役という存在が必要になりますよね。
これが生まれるべくして生まれるキャラ配置。
勇者に対する魔王です。
テレビドラマの紹介番組で登場人物の相関図が出てくることがありますよね。
殺意
←
主人公 → ヒロイン
愛
義 殺 殺 義
妹↑↓意 意↑↓弟
愛
女1 → 男1
←
愛
簡単に書くとこんな感じ。(PC用の表示で調整しています)
本来なら斜めの矢印も入りますが割愛。
ともかく、こういった矢印が示す通り、何かしらの関係性というものがキャラ間には存在します。
それは勝手に生まれるものではなく、それぞれがそれぞれの役割を果たす中で作者が意図的に組まなくてはならない関係性です。
物語を描く上で、キャラがお互いを必要としていなければなりません。。
考えるべきは、どんな役割を持たせ、どう物語に絡ませ、どこにキャラを配置するか。
これを意識せずに無策でキャラを生んでしまうと、担わせるはずの役割をろくに果たせずに物語にデッドスペースを作り出してしまいます。
キャラ一人作れば、キャラ一人分の物語が生まれるということです。
より豊かな物語になるのならともかく、無駄なページを割く羽目になるようでしたら、そのキャラは必要ではありません。
計画性を持ってキャラを生むと、物語はキュッと引き締まる上にいい味を出してくれます。
その方法として、対比というものをご紹介します。
対比とは、二つのものが相対的に見て相反している関係を言います。
対極にある二つのものは、決して混ざり合うことがありません。
近付けばぶつかり合いを繰り返す相克の形です。
簡単に言うと、ここでは性格設定や環境、あるいは考え方などが正反対の位置にある場合を指します。
熱血と冷血、金持ちと貧乏、死刑制度推進派と反対派、正義と悪などなど。
対比は、その構造からして対立を生みやすいです。
正反対の性質をキャラ1、キャラ2に振り分けるとすると、互いにぶつかり合うのは必然ですよね?
考え方が正反対なのですから、いざこざが起こりやすいのは道理。
そして、ぶつかり合うことで互いの考えを読者に提示するということが出来ます。
これが対比の効果。
どちらが正しいか、ではなくて、正反対の意見の衝突ですから互いが互いを強調します。
それぞれのキャラの性質が際立って見えるのです。
キャラ配置に対比を組み込むだけで、これだけの効果があります。
ぜひお試しください。