2、キャラクター理論 【キャラ=人間】
いくつかの項目を文章作法として講座致しました。
他にもまだまだ文章作法における項目はたくさんありますが、一端ここで区切って次の章へ進んでまいります。
このまま文章作法だけやっていても50ページを超えてしまう講座内容が控えておりますので、いつまで経っても他の章を解説出来なくなってしまうというのが理由です。
後半戦をお待ちくださいませ。
小説的キャラクターとはなんでしょう?
この章では、小説における登場人物に必要な要素というものを講座していきます。
物語を描く上で必要なのが文章だとすると、物語を動かして行く上で必要なのがキャラクターです。
小説を書きたい、って思う人は必ず自分の中で描きたいキャラクターというのが存在するものです。
しかし、書きたいキャラを書きたいように書いているだけでは小説として成り立たなくなる場合もあります。
キャラあっての小説なのですから、しっかりとキャラを立てて読者に感情移入してもらえるような愛すべき『人間』として存在させる必要があります。
キャラ作りに際して、最も力を入れなければならない一つのワードを提示します。
キャラ=人間であること。
生物としての人間、という意味ではありません。
キャラに必要なのは「人間性」です。
痛みもあれば悩みもあり、楽しみもあれば悲しみもあり、時には傷ついて泣いて、時には幸せを感じて笑顔を見せる。
そうした喜怒哀楽を備えた『人間』であることを念頭においてください。
別に人間を主役に据えろという意味でもありません。
例え、猫が主人公であっても「人間性」を備えさせてください。
小説に限らず、物語には『視点』というものが存在します。
作者視点とか、キャラ視点とか聞いたことがあるはずです。
作者から見た物語、キャラから見た物語はどういう風に映っているか、ということですね。
そして、小説において一番重要な視点がもう一つあります。
文章作法の項目でも重要であるとした、読者の存在ですね。
すなわち、読者視点です。
じゃあ、読者は何を見ているのか。
それは、小説の文章ではなく、登場人物を通して見える物語の世界そのものですよね。
物語の仲介役とも言える視点人物と、見る世界を共有しているわけです。
キャラが一喜一憂することで、それを同じ視点で覗き見る読者も一喜一憂することが出来ます。
これが世にいう「共感」です。
読者もキャラも同じ出来事を体感し、それが面白味に繋がるわけです。
しかしながら、キャラに対して共感出来るか否かはキャラ次第の部分もあります。
例えば、特に理由はないけど母親が大嫌いという子供はいません。
庇護してくれる母親を嫌うには、よっぽどの理由、背景がそこに必ずあります。
虐待されていたり、育児放棄されていたり、必要以上に教育的でついていけなかったり、成長して親といるのが恥ずかしい年頃だったり。
こういった人間性を備えていて初めて、読者はキャラに意識を通わせます。
なので、視点を重ね合わせるために必要となってくるのが、キャラの人間性となってくるのです。
文章作法の章では、読者がイメージしやすい文章であることというのを徹底しましたね。
キャラクターの章では、読者視点を意識してキャラに人間性を備えさせることが大切になってきます。