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序章




何か――聞こえる。


(…ここは何処だろう?)


少年は宙を漂っていた。

目の前に広がるのは森林に囲まれた波紋ひとつない湖の湖岸。

天空には月が輝き、主賓に場所を譲るように星々の瞬きはなりを潜めている。

シャランシャランと鈴の音があたり一面に響き渉る。

少年はそのまままるで鈴の音に惹きつけられるかのように湖岸に着地する。

それは都会で育った少年にとって壮大な光景だった。

自然を見る機会のあまりなかった少年にとって、畏怖すら抱くほどの自然を見る機会などがあるわけもない。


(…ここは…?)

――シャラン、シャララン――


同じ疑問を浮かべかけた少年の耳に届いた音。

学校の音楽室で聞く鈴の音よりも優しく、そして心に澄み渡る音色に、少年の足は自然とその方角に向く。

まるで鈴の音に誘われるかのように…。


――シャラン、シャラララン――


まるで『おいで』と言っているかのように。

そして少年の歩みは直ぐに止まる事になる。

朱色の袴に白い袖。

足首と腕に付けた鈴が、少女の動きに合わせて柔らかな音を発する。

少女はまるで少年がいる事に気付かないかのように、一心不乱に舞踊る。

祈るように、唄うように、少女は舞う。

少女の為に用意されたかのような波紋一つない湖の湖岸で。

月明かりのみに照らされて舞う少女はとても神秘的で、バックハーモニーを奏でるのは森の木々。

それはまるで作り物の世界でも見せられているかのように現実味のない幻のような世界。

まるで夢と現の挟間を覗いてしまったかのような、そんな畏怖を抱かせる光景だった。

少女は身体の動きを少し緩め、ゆったりと舞いながら唄を紡いだ。

耳に残る、不思議な唄を…。




――暗雲立ち込める闇夜明け

  一条の光射し

  波間に漂う金色の

  扇を当てるは千年樹

  光は分かれ八色に

  おめおめ迷う事なかれ

  赤き道は生まれ出ずる子に

  黄色き道は幼子に

  青き道は亡き父に

  緑の道は亡き祖父に

  橙の道は良き妻に

  藍の道は竹馬の友に

  紫の道は亡き祖母に

  白の道は道にあらず

  おめおめ迷う事なかれ

  道行く先には黄金の

  獅子に護られし栄華の証

  おめおめ迷う事なかれ

  おめおめ迷う事なかれ――



再度書き直していきます!(2009/08/06)

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