「彼」の願いのかなえ方
郊外の都市の、あまりにも地味で本当に商売をする気があるのか疑うような店の中で、小綺麗ないすに座っている男。
「彼」が条件こそあれ、頼めば願いをかなえてくれる、この店の店主です。
今日のお客はサングラスにマスク、帽子をかぶった女性の様です。
「おかけください。私がこの店の店主です。」 女性は言われるままに椅子に腰をかけた。
「この店では条件をのんでもらう代わりに貴方の言ったことをかなえます。貴方は今日、何を頼みに来ましたか?」
女性は手がふるえながらもマスクを取った。そこには酷い火傷のような跡があった。 そして女性は重い口をあけた。
なんでも女性が言うには、全く以て知らない男に顔を硫酸で潰されたらしい。その男は精神異常者らしく、刑事責任に問われなかったそうだ。彼女はとにかく顔を変えて欲しいらしい。 「彼」は少しの間黒い笑み浮かべそして言った。
「わかりました。私があなたの顔を見事変えて見せましょう。」 「彼」は胸を張りいかにも自信ありげな顔で言った。
女性は歓喜した。だが、ただで願いをかなえる程「彼」は優しくはない。 彼女の前にビンに入った透明な何かを出してきた。 そして彼は言った。
「これは貴方の顔を潰したものでもある薬品。・・・・硫酸です。」 女性の顔が歪んだが、「彼」はそんなこと、気にしない。
「これであなたの顔をつぶした男の顔をつぶしてください。 そうすればあなたの顔を変えて見せましょう。」
迷うまでもない・・・・とはいかなかった。 いくらやられたからと言ってやり変えうのは子供のやることだ。そう自分に言い聞かせていた。 女性の様子を見て「彼」は満面の笑みで言った。
「大丈夫。 そんな奴はやられて当然なんですよ。 そしてそんな奴を野放しにしている社会も悪い。 だから貴方は悪くないんですよ。 それにちょうど顔も変わるじゃないですか。」 私は決心したやってやろうと そして思った私のせいじゃない。と
そして数日後、新聞の一面に載っていた。まるでなにも男は恨みを買っていないのにやられたかのように・・・・
そして、初めて来た時と同じ服装で女性はやってきた。 女性は言った。 ニュースや新聞は見ているだろう。 きちんとやってきたから顔を変えてくれと。 彼は言った。
「では今から顔を変えましょう。 目をつぶって大きく深呼吸して下さい。」 「いきますよ。1 2 3 はい、目を開けて結構ですよ。」 私は目を開けた。しかしここには鏡はなかった。「彼」に聞き手鏡を貰った。そして鏡を見ると・・・
そこには私の顔を潰し、そして私が潰した男の顔があった・・・・
どうでしょうか?
感想、アドバイス等ありましたらお願いします。