2−5 解決の裏側
これは後で聞いた話だが、当事者はやはり同じ学校の1年生だったらしい。
中学卒業時に、自分の古着が予想以上に高く売れたので、それに味をしめたのでは
ないか。
その子の親が、PTAの係をやっていて、お古の制服を洗う為に家に持ち帰っていたのを、横流ししたようだ。
幸いにも、その子は停学処分とかにはならず、口頭注意で済んだと聞いた。
私にはどの子か知る由もない。パパに聞いても、どうせ答えないのはわかっているから、自分から聞くことはしない。
パパ曰く「なんとかギリギリ間に合った」
らしい。
その後、パパは何度か学校に足を運んでいた。
「世の中で起こっていることを、先生たちも知っていないとな」
そんなことを言いながら、せっせと資料を作っていた。先生たちにセキュリティ研修でもやっているのだろうか?
私は試験休み中を七香や他の友達と満喫していた。カラオケに行ったり、ボウリングに行ったり。試験休みは10日ほどあるし、宿題もほぼないに等しいので、この期間は思いっきり遊べる。
あの子は大丈夫なのかな?
今回の当事者である1年生の子のことを思った。
誰かはわからないが、最悪な高校生活のスタートになってしまっただろう。
ただ今回のことで、本当の最悪な事象にならずに済んだ。
「なんとか間に合った」
パパが言っていた事を思い出した。ホント、そう思いたい。
パパの話では、先生たちに説明する場で、当事者の親も参加していたらしい。
ペアレンタルコントロール、無害なアプリだと思っても利用可能年齢を確認し安易に親が同意をしないこと、を説明してきたと聞いた。
それと同時に、大人と子供の間のコミュニケーションが重要である点も。
監視ではなく、いざという時の為に自分を守れる手段を用意しておく事、と。
一学期の終業式の日、通知表と一緒に1枚のプリントが配られた。
プリントには「夏休み、特別親子講習会」とあった。
七香がこっそり話しかけてきた。
「ねぇねぇ、親子講習会だって、ウケる」
「夏休み中にやるなんてね」
「え?違う違う!そこじゃなくって!講習会の講師の名前見てみて」
そこには見覚えのある名前が印刷されていた。
「パパ?!」
「アンタのパパ、ついに学校で講習までやるのねー」
講習会のタイトルは
親子のためのネットリテラシー、夏休みにネット被害に遭わないために」
私はちょっと眩暈がしてきた。これは暑さのせいじゃないのだろう。
<制服の裏側 完>




