番外編 よろしく!〜21歳の紬(中)
悠太とは東京駅の丸ビルの入り口で待ち合わせをしていた。
悠太はすでに来ていて、ぼんやりと立っていた
「ごめん、待たせた?」
「いや俺も今来たとこ」
それから二人で、カフェでテイクアウトを買って、ブラブラと有楽町のイルミネーションを見て歩いた。
「あ、見て見て、くまのイルミネーション、可愛いー」
「あ、あれ、サンタさんだ」
なんか私ばっかりはしゃいでる感じだ、悠太はじっと見ているだけ。
悠太が「今日はどこもいっぱいだろうと思って」予約してくれたレストランで食事をすませ、そろそろ帰ろうと駅に向かって二人で並んで歩いていた。
まだイルミネーションを見る人の波で道が溢れていた。
私の手が悠太の手に触れそうになる。
びくっとして手を引っ込めてしまった。
もう、七香が変な事言うから!
人混みの中、急に悠太の手が私の手を掴んだ。
「ほら、人多いから危ない」
悠太の手って、こんなにしっかりしていた?
悠太の手をぎゅっと握った。
なんか恥ずかしくなってきた。
悠太はいつも家の近くの公園まで送ってくれる。
4年前に悠太と別れた、あの公演。
「…紬、今日はありがとう」
ふと立ち止まった悠太の声。
その声を聞いて、呼吸が止まりそうになる。
「ううん。私も楽しかった」
互いに視線をそらしたまま、でも近づく距離だけは止められない。
大学での、選んだ道も違った。
でも胸の奥の 「いちばん最初の場所」 だけは同じ。
「じゃ、またね」
バイバイして公園の出口に向かおうとした時、悠太は急に私の手を引っ張った。
<つづく>




