番外編 よろしく!〜21歳の紬(前)
私は数日ぶりに七香と大学のカフェで過ごしていた。
お互い学部が違うので、同じ大学とはいえ、なかなか会う時間がない。
「そういえば、あれから悠太と会った?」
「うん、なんかセキュリティのことで聞きたいことがあるっていうから」
あの再会以来、悠太とはちょこちょこ会っている。
「えー、そうなんだー」
七香はニヤニヤして見てくる。
「何、その顔?」
七香は、顔を近づけてきた。
「もうキスぐらいした?」
私は飲んでいたカフェオレを吹き出してしまった。
「なっ、悠太とはセキュリティの勉強の為に会っているだけ!そんな訳ないじゃない」
「えー、でも数回デートしてるんでしょ」
「デートじゃない!」
「えー?違うのー?」
七香のニヤニヤは止まらない。無意識に顔が熱くなる。
「そうだよ!最初はパスワードのことで質問があるっていうから会っただけ!」
「どこで?」
「…ゲームセンター…」
「デートじゃん」
「次は、メールのことで聞きたいことがあるっていうから!」
「どこで?」
「…ショッピングモールに行って、ちょっと映画も…」
「それもデート」
「次は、スマホのことで聞きたいっていうから会って…」
「どこで?」
「…悠太がお礼だって言うから、イタリアンレストランに…」
「…デートだね」
「え?これってデートになるの?」
「若い男女が2人でゲームセンターだ映画だレストランだって、デート以外に何があるのよ?」
え、あれってデートだったの?
「実は今日もこれから会うんだけど、今度は無線LANのことで」
「どこで?」
「…有楽町のイルミネーションで…」
七香は若干呆れ顔で言った。
「アンタ、まだ自分の心の迷子になってんの?」
<つづく>




