9−6 海外からのライン
佐藤悠太の叔母、聡子はスマートフォンを握りしめ、SNSのメッセージアプリを開く。
画面には、見慣れた外国人の笑顔が映し出されている。
彼の名はアレックス。
北欧の血を引くというだけあって、透き通るような青い瞳に、ブロンドの髪。
彫りの深い顔立ちが、私の胸を高鳴らせる。
「Satoko、今日の調子はどう? そっちはもう夜かな」
メッセージには、遠く離れた異国の地から、私のことを気にかけてくれる優しい言
葉が綴られていた。
彼は、今、アフリカのある国で、医療支援ボランティアをやっているらしい。
貧困に苦しむ人々のために、日々、尽力していると、熱く語ってくれた。
アレックスと知り合ったのは、ごく最近のことだ。SNSの旅行好きコミュニティで、偶然、彼の投稿を見つけた。
そこに映し出された彼の笑顔は、どこか寂しげで、なぜか放っておけなかった。
「素敵な写真ですね。どこを旅されているんですか?」
勇気を出して送った、たった一言のメッセージ。
それが、私とアレックスの間に、運命の糸を紡ぎ始めるきっかけとなった。
アレックスとのやり取りは、日に日に増えていった。
最初はたわいのない日常の出来事、お互いの趣味や好きなものについて語り合った。
彼は、私の話を聞くのが上手だった。
私の仕事の悩み、昔の恋の話、家族との関係。
何気ない私の日常を、彼は真剣に受け止めてくれた。
「Satokoは本当に優しい人だね。君のような人が、世の中にもっと増えたらいいのに」
そんな風に、私を特別に扱ってくれる言葉をくれるようになったのは、いつ頃からだっただろうか。
アレックスは、いつしか私の心の拠り所となっていた。
彼とのやり取りが、毎日の仕事の疲れを癒し、心の隙間を埋めてくれる。
気がつけば、私は、画面の向こうにいる彼に、淡い恋心を抱き始めていた。
私も彼のことを手伝いたい。
そんなことを思い始めていた時、アレックスから、ささやかなお願いをされた。
<つづく>




