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8−1 本人の証明書
「つ・む・ぎ!なーにしてるの?」
文化祭も終わり、いつもの放課後。
私は図書室のいつもの窓際の席で、次の課題に取り組むつもりだった。セキュリティもいいけど、テストも大事だもん。
図書館はいつも人が少ない。静まり返った空気が私の心にやる気を起こさせるようだった。
だが、そんな時間も七香の登場で、また別の「いつもの」騒がしい日常へと変化していった。
私の幼馴染みであり、学校で知らない人はいないというくらい交友関係が広いが、そのためいつも私にトラブルを持ってくる七香が、私が座る椅子に、無理やり自分の椅子をくっつけてきた。
椅子を引きずる音が図書館内に響き渡る。
「ここ図書室だよ、七香。ちょっと静かに」
「ああ、ごめんごめん。でもね紬、聞いて! ロボ研の発表、すごかったでしょ?私、あれを見てて、またあの時の山下くんみたいになっちゃったらどうしようって急に不安になっちゃったんだ」
七香の瞳が、少しだけ真剣になる。山下くんのSNSアカウントのパスワード盗難事件(リモートコントロール編)は、彼女にとっても身近な恐怖として残っているようだ。
「七香もパスワードの取り扱いに気をつけてね」
「ふふん、私は大丈夫!」
<つづく>




