7−8 リモートコントロール
ある日の放課後、七香と私はロボ研のリハーサルに招待されていた。
七香は、部長からリハーサルへの招待が来た時、「さすが山岸くん!」と自分のことのように喜んでいた。
教室内に展開されたコースを数台のラジコンカーが所狭しと走り回る。
ぶつかりそうとヒヤヒヤするが、どのラジコンカーもスレスレのところをすり抜けて、時に急ブレーキ、時に反転して走り回っている。
その姿は、まるで何かの生き物のようだ。
「すごーい!まるで生きているみたい!」
私と七香は思わず声をあげて拍手をしていた。
「ねぇ紬、前はホントにダメダメだったらしいよ。部長もすごく心配してたんだから」
「前まではラジコンカーがお見合い状態で止まったり、1台だけ動かなかったりがあったんだけど、今ではこの通り!」
ロボ研の部長が楽しそうに解説してくれた。
七香の言う通り、リモートコントロールされたラジコンカーは、まるで自分の意思で動いているかのようだ。
「部長!すごすぎ!これ絶対バズるって!」
七香はスカートを翻して教室中を駆け回り、ラジコンカーをスマホで連写しまくっている。
その勢いは、まるで教室に太陽を連れてきたみたいだ。
「山岸くーん!天才じゃん!」
教室の隅でコントローラーを握る健太くんに向かって、満面の笑みと両手で作ったダブルピースを突き出す七香。
その眩しさに、健太くんは驚いたように目を丸くし、それから照れくさそうにピースを返していた。
ラジコンカーは、指導室で見た山岸くんと今日の山岸くんの比較のようだった。
ラジコンカーも山岸くんも、今日はとても生き生きとしている。
リモートコントロールされて山岸くんのPCは悪用された。
今はラジコンカーを山岸くんがリモートコントロールし、エンターテイメントに仕上げている。
<つづく>




