7−7 JPCERT
「山岸くん、表示されたウイルスの警告って、これ?」
私はJPCERTのサイト(日本国内に関するセキュリティインシデントの支援を行う団体)に表示されていた画面を見せた。
「あ、そうです、これです」「山岸くん、これは本当のウイルスソフトの計画じゃなくて、それを模倣したサイトの画面なんだ、ブラウザの画面」
「え!?」
「このあとタスクマネージャーでブラウザを止めた?」
「え?はい、サポートセンターの人の指示で」
「パスワードも入力した?」
「あ、はい。ウイルスを除去するからって」
「山岸くん、犯人はね、タスクマネージャーでブラウザを閉じる。ただそれだけの操作で山岸くんの信頼を勝ち取ったんだよ」
山岸くんは、他の被害者と同様に、攻撃者に自分自身を差し出してしまっていた。
「先生、山岸くんは犯人ではないです。本当に山岸くんが犯人だったら、証拠が残る形で自分のSNSアカウントや自分のPCでやるわけがない」
山岸くんが顔をあげて、私と先生を交互にみた。
まるで私の言葉が信じられないって言っているみたい。
「それに山岸くんと同様の事例が数多く起こっています。これ…」
私は先生に、自分のスマホの検索結果を見せた。
そこには「サポート詐欺」「SNSアカウント乗っ取り」の文字が踊っていた。
「山岸くんは、それと気付かずに詐欺にあってしまった被害者です」
山岸くんは悪くない、ただ…私は次の言葉が出なかった。
プログラミングに自信のあった彼には辛い言葉だろう。でも私は残酷な現実を山岸くんに伝えなければならなかった。
<つづく>




