6−10 残照
山下くんは、泣きながら頷いた。
私たちは山下くんを連れて職員室へ向かい、バスケ部顧問の教師にすべてを打ち明けた。
事態の深刻さを理解した教師は、すぐに山下くんの両親に連絡。
そして、私たちは教師と駆けつけた山下くんの母親と共に、警察署へと向かった。
警察は、私が確保したチャット履歴やSNSの分析結果、そして山下くんの証言に基づき、彼を乗せようとしたタクシーに事情聴取することができた。
タクシー手配の際のアプリ履歴、クレジットカード履歴から犯人に紐づけることができるだろう。
彼は脅迫されていた被害者として厳重注意の上で保護され、実質的にお咎めなしとなった。
山下くんの母親がほっとしたように、山下くんを抱きしめていた。
山下くんはずっと「ごめんなさい」と繰り返していた。
二人の目には安心感からの涙が光っていた。無機質な警察署内で、そこだけが日が当たるように温かかった。
警察はすぐに指示役の捜査を開始したが、事態はパパの予想通りだった。
直接の指示役はすぐに特定できたそうだが、本当の拠点は海外にあり、チャットアプリも匿名性の高いものが使われていたため、組織本体の摘発は困難を極めるだろう、と。
犯罪の根は、まだ残っている。でも……。
<つづく>




