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6−4 デジタル・フットプリント
私たちは近くのカフェに飛び込み、一つのスマホを三人で覗き込んだ。
山下くんのアカウントは、一見するとどこにでもいる男子高校生のものだった。
『新しいバッシュ買った! これでレギュラー目指す!』といった、部活に燃える明るい投稿が並んでいる。
「……別に、普通じゃん?」
と佐藤悠太が言う。
「ううん」
と私は画面をスクロールする手を止めた。
「……おかしい」
「何が?」
「この『バッシュ買った』って投稿。投稿時間を見て。深夜2時」
「夜更かしだろ、それくらい」
「それに……」
私は彼のフォローリストを開く。
「この『#簡単作業 #即日入金』『#高額バイト』ってタグをフォローしてる」
「それって……」
佐藤悠太の声が強張る。
「典型的な『闇バイト』の手口ね」
表札や車の写真。深夜の雑居ビル。
そして、闇バイト。
パズルのピースが、最悪の形で組み上がっていく。
<つづく>




