6−2 不安な相談
「……1年生の、山下太一ってのがいるんだけど、様子がおかしいんだ」
山下太一くんは今年バスケ部に入ったばかりの1年生。
補欠だがキビシイ練習にも真面目に付いてくるヤツ、とは佐藤悠太の評価だった。
「最近、あいつ、急に羽振りが良くなってさ。最新のバッシュとか、高いプロテインとか買い揃えてるんだ。でも、肝心の練習には全然身が入ってない。練習中も何度もトイレにいって……何をしているのかと見たらずっとスマホばかり気にして……なんていうか、何かに怯えてるみたいなんだよ」
佐藤悠太の言葉に、七香が目を輝かせた。
「へー、なにそれ! 闇金? それともまさかのパパ活?」
「笑い事じゃない!」
佐藤悠太が声を荒らげる。
「あいつのせいで、チームの雰囲気も最悪だ。一人でもそんなのがいるとチームワークが乱れるんだよ」
部活のエースとしての責任感か、それともただ後輩の態度が気に入らないだけか。
私は佐藤悠太をじっと睨みつつも、彼の言葉の最後に引っかかっていた。
(……羽振りがいいのに、怯えてる?)
お金を手に入れて嬉しいはずの人間が、なぜ怯える必要があるのか。
(……ただの金欠じゃない、か)
タピオカと小テストの平和な日常は、このミスタースケベの来訪によって、またしても不穏な匂いを纏いはじめていた。
<つづく>




