表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セキュリティ事件解決しちゃいますが、何か?JK紬のセキュリティ相談室  作者: 雨後乃筍
6章 闇バイト

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/79

6−1 寒暖差

 放課後の教室は、窓から差し込むオレンジ色の西日が、私の頬をじりじりと焼く。


 部活へ向かう生徒たちの熱気と、制汗スプレーの混じった匂い。


 七香がスマホで見せつけてくるタピオカの画像も、甘ったるい日常の象徴みたいだ。


「やっぱりさー、駅前の新作、黒糖タピオカじゃない?」


「七香はそればっか。私は来週の古典の小テストがやばいって話をしてるんだけど」


 私はため息をつく。


 親友の七香は、教科書よりもスイーツの最新情報に精通している。


 その顔の広さとコミュ力は、時々どういう仕組みなのかと感心するほどだ。


「えー、テストなんて前日覚えれば余裕っしょ! それより紬、あのタピオカ、絶対インスタ映えするって!」


「その余裕を少し分けてほしい……」


 平和で、少し退屈で、温かい時間。


 だが、教室の引き戸が開いた瞬間、その生ぬるい空気は一瞬で冷やされた。


 そこに立っていた佐藤悠太の顔だけが、まるで真冬の空の下にいるみたいに蒼白だったからだ。


「あ、悠太くん! おつかれー」


 七香が気さくに手を振る。


 そこに立っていたのは、同じ2年生ながら、バスケ部のエースとの呼び声の高い、佐藤悠太。


 しかし、その表情はいつもの明るさとは程遠く、深刻そうに眉間にしわを寄せている。


(げ、ミスタースケベ……)


 私は即座に警戒態勢に入る。


 この男は、以前の「3ポイント事件」で、エッチな動画を見ていた人物だ。


 佐藤悠太は七香の挨拶に小さく頷くと、まっすぐ私たちの方へ歩いてきた。


 その真剣な眼差しに、七香も「あれ?」と首をかしげる。


「七香さん、ちょっといいかな。……そっちの、ええと」


 佐藤悠太は一瞬ためらい、私に視線をよこす。


 あの目でエッチな動画を見ていたのかと思うと鳥肌がたった。


 名前を覚えていないのか、意図的にぼかしているのか。


 どちらにせよ不愉快だ。


「紬!用件は?」


 私がぶっきらぼうに尋ねると、佐藤悠太は気まずそうに目をそらし、そして重い口を開いた。


<つづく>


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ