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1−3 不安な兆候
七香は唇を噛みながら、スマホを差し出した。
「紬……お願い。私一人じゃできない」
私は画面を覗き込み、ふと背筋がぞくりとした。七香のアカウントには、見覚えのないログイン履歴が残っていたのだ。
「……やっぱり、誰かが触ってる可能性がある」
「うそ……」
七香の瞳が潤む。私は胸の奥でパパの声を思い出した。
『セキュリティはな、いつも“最悪の事態”を想定するんだ。早めに動けば傷は浅くできる』
私は深呼吸し、震える七香の手を取った。
「大丈夫。今ならまだ食い止められる。パスワードを安全なものに変えればいい」
「でも、どうやって? 複雑すぎるのは覚えられないよ……」
七香は不安そうに眉を寄せる。私は苦笑しつつ、答えを告げる。
「大丈夫。パパに教わった“覚えやすくて強いパスワード”の作り方、私が教えるから」
その言葉に、七香の顔が少しだけ明るくなった。
<つづく>




