表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
セキュリティ事件解決しちゃいますが、何か?JK紬のセキュリティ相談室  作者: 雨後乃筍
5章 フリーWiFiの偽装

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/79

5−3 パパのコーヒー

 家に帰るなり、私はリビングでコーヒーを飲んでいたパパに、七香から聞いたアカウント乗っ取りの一件を報告した。


「ふむ、それは面白い。」


 私は「また始まった」と思った。


「有名なゲームアカウントの乗っ取りが、特定のコミュニティ、つまり紬たちの学校や、その周辺で急に増えている、と」


 パパは、カップをソーサーに静かに戻し、顎に手を当てて考え込む。セキュリティ専門家としての、真剣な顔だ。


「うん。手口が雑な詐欺に使われてるらしいんだけど、乗っ取り前に、ログインが不安定になったり、ログインできなかったり、共通の現象があるみたいなんだ」


 私は、七香の話を、なるべく詳しく、パパに伝えた。


 こういう時、パパは感情論ではなく、あくまで事実とデータに基づいて冷静に判断してくれる。


 しばらくの沈黙の後、パパが口を開いた。


「奇妙だね。確かに、一般的なアカウント乗っ取りは、どこで起ころうが関係ない。フィッシングメールに引っかかったり、使い回しのパスワードが漏洩したり、それらは場所を選ばない。」


 パパは、そう言って、テーブルの上で指を一本立てた。


「だが、今回のケースは違う。特定の場所、特定のコミュニティで『線』となって広がり始めた。これはつまり、被害者たちが、ある共通点を持っている可能性を示唆している」


 私は、パパの言葉に、ハッとした。


 確かにそうだ。


 みんなが同じ場所で、同じ危険に晒されていたからこそ、同時多発的に被害が出始めたのかもしれない。


「ログインの不安定さ、ログインエラー……。これらは、ゲームアカウントに直接ハッキングするよりも、むしろ、通信経路に何らかの細工がされていた可能性を考えさせるね」


「通信経路に細工?」


 パパは、さらに言葉を続けた。


「紬も知っているだろう?『セキュリティの要は人間』だ。そして、『セキュリティとは特別ではなく日常ごと』。技術的な防御も大切だけど、人間が、普段何気なく使っているもの、信じ込んでいるものの中に、一番大きな落とし穴がある」


「今回の件、被害者たちは、普段の生活の中で、何かセキュリティ上の『盲点』を突かれたのかもしれない」


 パパの推理は、あまりにも具体的だった。


 この乗っ取り事件は、単なるネット上の話ではなく、もっと物理的な、誰かが仕掛けた巧妙な罠なのだと、改めて理解した。


<つづく>


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ