4−4 禁句
「それはセクストーションと呼ばれる、偽の脅迫メールだな」
「せ、せくす??……なにそれ!?」
「まれに本当に盗撮されるケースもあるにはあるが、今回のは違うな」
夜帰宅したパパに、今日佐々木先輩から聞いた話を伝えたところ、なんてことはないという調子で返された。
「性的な恐喝詐欺だ。男の子がこっそり見る、あの手のビデオを見て、そういうことをしているところを録画したと脅迫するメールだ」
「なっ!パパ、娘の前で!」
私は顔を真っ赤にしたが、パパは真面目な表情で続けた。
「でも実際は録画なんてされていない。全部ウソだ」
「ほんとに?」
「ああ。この手の詐欺は世界中で蔓延している。恥ずかしさと恐怖を利用するんだ」
パパはタブレットを開き、怪しいメールの例文を見せてきた。
「これ……佐藤君の話とほぼ同じ!」
知らずに身震いしていた。
「だろう? だから金は払うな。盗撮された動画なんて存在しない」
ほっと胸を撫で下ろした。
でもパパの口は止まらない。
「彼らは“ハッキングした”、”恥ずかしい行為を盗撮した”と言ってくる。しかし実際は誰の端末にも侵入していない。言葉だけの嘘だ」
「もう、また……そんな得意げに言わないでよ」
「得意じゃない、事実だ」
私はクッションを投げた。
「おいおい、父親に物を投げるな」
「だから、もう、その話を娘の前で言わないで!」
言いながらも、少しだけ笑ってしまった。
あのメールの恐怖が少しずつ消えていくのを感じた。
「パパって、ほんとに頼りになるね」
「ん? 何か言ったか?」
「なんでもない!」
私は慌てて背を向けた。
あれ?でもそうだとすると、もう一つの疑問がある
「ねぇパパ、佐藤君のメールに“本物のパスワード”が書かれてたって。どうして?」
<つづく>




