3−7 青空
数日後の放課後、正美ちゃんのことで話があると七香に半ば強制的にファミレスに寄り道をさせられた。
「ねえ、聞いて!正美ちゃん学校に戻ってきたんだって」
七香が満面の笑顔で報告する。
「今度の週末は、両親と3人でお出かけするみたい。明美ちゃんが言ってた」
「そっか、よかった」
私は微笑み、ストローをくるくる回した。
心の中で「良かったね正美ちゃん」と呟く。
七香はパフェにスプーンを突っ込みながら、なぜか泣きそうな顔をしていた。
「ねぇ、紬。私、あの時、正美ちゃんが一人で苦しんでたんだって思った時、胸が苦しかった」
ふと、パパの言葉がよみがえる。
『便利なツールはたくさんある。でも、人の心をつなぐツールは人の温かい心だけ。誰かを思いやる気持ちなんだ』
セキュリティって、ただの技術じゃない。
人を信じ、守り合うための“絆のコード”なのかもしれない。
「ねえ紬?」
七香が、さっきまで泣きそうだった目をして、真剣な顔で身を乗り出す。
「紬パパってさ、探偵? それとも……エスパー?」
私は、その七香の真剣な顔を見て、堪えきれず吹き出しそうになった。
「違うよ。普通のサラリーマン。ただちょっとセキュリティに詳しいだけ」
「……え?」
七香がポカンと口を開けたまま固まって、スプーンからクリームが垂れた。
私は笑いをこらえきれず、そっと肩をすくめて見せる。
私のパパも普通の人、私も、七香も。でも今回は、みんなの心が一人の少女の絆を紡ぎ直した。
窓の外には、真っ白な雲と透き通る青。
人の心の空にも、少しずつ光が戻っていく。
<コックリさん 完>




