3−5 再生への伏線
翌日、私と七香は、明美ちゃんと会って話を聞いた。
見ず知らずの小学生と話すなんて私にはハードルが高いけど、流石の七香のコミュニケーション力だ。
あっという間に小学生と打ち解けて、なんと遊ぶ約束までしていた!
これはパパからの調査依頼。
「紬、七香ちゃんと、明美ちゃんに聞き取りを行ってくれ。できるだけ早く」
「そして、正美ちゃんの周辺で何か変化がなかったのか確認してほしい。具体的には、生活動線の変化、時間の変化、学校での休み時間の過ごし方の変化だ」
「その年代の子供に大きなストレスになること。それは家庭環境の変化だ。そして、その中でも両親の離婚が最も可能性が高い」
「次のステップで正美ちゃんの両親に話す必要がある。明美ちゃんに協力を要請すること」
女子高生が聞き取る内容としては、ちょっと重い。
だが予想外にすんなり判明した。
明美ちゃん自身が正美ちゃんから聞かされていたらしい。
最近は自宅ではなく、おばあちゃん家で夕食まで過ごすことが多いってこと。
正美ちゃんの父親と母親が、あまり一緒に家にいないこと。
最近、一緒にいるとこを見たのは「体操服」の時で、それ以外では一緒にいるところを見ていないこと。
明美ちゃんは言っていた。
「最近、正美の笑ったところ見てない」
私は七香と顔を見合わせた。
私は聞き取りの結果をパパにLINEで送った。
パパからの返信は「これから正美ちゃんの親御さんに連絡する」だった。
え?直接?
私が驚いていると、七香が覗き込んできて
「さすが紬のパパ!」
ってウインクしてみせた。
そこからの話は、私には「大人の話」として聞かされることはなかった。
ただ、パパは何度か正美ちゃんの両親に会っていたらしい。
「紬、準備が整ったぞ。最後の仕上げを紬と七香ちゃんにお願いしたい」
私はパパからの話を聞いて、腰を抜かしそうになった。
そんな他人の家庭にずかずか入り込むような真似をしていいの!?
しかもパパからの依頼内容、めっちゃハードル高いんですけど!
「紬、セキュリティの要は人の心だ。今回は正美ちゃんのために多くの人の心を動かす必要がある」
<つづく>




