3−2 「おまえだ」
「コックリさん、コックリさん、おいでください。おいでになったら教えてください」
忠司が唱える。
静かな体育館の闇が4人を飲み込む。
4人の呼吸音が、びっくりするくらいに聞こえる。
その時、体育館の奥で、何かが開けるような乾いた音がした。4人が一斉に目をやったその時、
「う、動いてる」
4人は呆然と十円玉を見つめた。
十円玉はゆっくりと「はい」と書かれた文字に向かっていった。
「誰か動かしているんだろう!」
直人が怒鳴る
「私、力を入れていない」
「私も」
「俺も」
4人ともお互いの顔を見合わせた。
「怖い!もうやめようよ」
正美が泣きそうな声で言う
「ダメだ、途中で止めたら呪われるって」
忠司も震え声になっていた。
「いじめの犯人を教えてもらう!」
直人がみんなに声をかけた。
「正美をいじめている犯人はクラスの中にいますか?」
直人がコックリさんに聞いた。
ー「いいえ」
「「いいえ」?クラスの中に犯人がいないって?」
「じゃあ、誰が正美のものを盗んでいるんだ?」
直人が声をあげた
また十円玉が動き出した。今度は紙に書かれた50音のところだった。
ー「お」
ー「ま」
ー「え」
ー「だ」
「おまえだ?」
直人がぼそっと呟く。
「いやああああ!」
つんざくような正美の悲鳴に、4人は反射的に指を離していた。
懐中電灯が転がる。
闇の体育館の中を光が回った。
正美はガタガタと震え、両手で頭を抱えていた。
「指、離しちゃった」
忠司がぽつりと言った。
「コックリさん事件」の始まりだった。
<つづく>




