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プロローグ

 「歌はね。僕にとって僕の人生の全てなの。君にとって音楽ってなに?」


 「俺にとっての音楽?そうだね…強いていうなら人の輝き。かな?」


 「何それ?ふふ、何言いたいのか全くわからん。でも、そん答え僕はとっても面白いと思うよ」


 彼は少し顔を赤くすると俯いてしまった。

 あれ?恥ずかしがってる?アハッめっちゃ可愛いところもあるじゃん。

 僕は目の前の柵に手をついて空に広がる満点の星空を見上げた。

 空には様々な星が浮かんでいた。例えば大きさが違ったり、光が少し赤みがかっていたり、青色っぽい色をした星ぼしが自分が主人公なんだと強く輝いていた。


 「星って一つ一つは無個性な石や何かの物質の塊に過ぎないけどある一つの自ら輝いている星に照らされて光っているんだ」


 彼は僕の隣まで歩いてくると僕が見つめている星空を少し悲しそうな目で見つめていた。

 横目で彼の瞳を見つめると目には美しく輝く星ぼしとなんとも言えない感しさがその瞳に詰まっているように感じた。


 「星と人は同じだよ。一人一人無個性でも目が眩むように輝くある一人によって暗かった人生が照らされてその光を受け継いでその先も輝く続けていくんだ」


 「うーん。その例えちょっと僕には分かりにくいかも。でも、君がとてもロマンチックなのはわかったかも。その口から紡がれた言葉の節々からとても素敵なことを言っているのはね。貴方はとてもいい作詞者になりそうだね」


 何食べたらそんな洒落た言葉が出てくるんだろう。いくら私が考えてもそんな美しい例えなんて出てこないよ。

 星空に手を伸ばしても彼の言っていることは理解できなくて、それでもいつか分かればいいかなと思う。

 まだ人生は長いから。

 今はゆっくりと彼の隣でゆっくりと星空を眺めていたい。

 そしてあわよくば…


 「フフン〜フフフフーン〜〜」


 「とても綺麗な鼻歌だね。思わず聴きいっちゃいそうだったよ」


 彼はゆっくりと拍手をした。

 そう彼は普通に拍手をしているしかし右手には長方形で今の人間社会には必須の品物がに握られていた。

 

 「え?口から漏れてた!?めっちゃ恥ずかしいんだけど…てか何?その右手に握られているものは?おい!こっち向けんな」


 「何ってスマホだよ」


 見て分からないの?と言わんばかりのドヤ顔で私のことを見つめていた。

 うざい!あーうざい。うざい!もうぶち転がしてやろうかな?

 僕が指をポキポキと鳴らしていると彼は焦ったようにスマホの画面を見せつけてきた。


 「ん?何それカメラ起動している…てか、今録画してんの?」


 「そうだよ。そんな綺麗な歌声、録画しない選択肢は存在しないでしょ。しないやつがいたら…うん。人間か疑うね」


 彼は笑顔でそう言い放った。こうだよこうと親指を首元まで持っていくと行き良いよく右から左へとスライドさせていた。うん。つまり殺す。そういう認識でOKということかな?

 てか、待って根本を忘れるところだったあの録画されてたのやばくない?まじ?恥ずかしすぎるんだけど…ヤバい。まじか。

 ギロリと彼を睨みつけると彼は必死の表情でスマホを胸ポケットに隠すとアルマジロのように瞬時に丸まって防御体制に入った。


 「やめて!今、俺の宝物をを壊そうとしているでしょ!分かる。分かるよ。俺には分かる。詩織のその目は捕食者と同じ目をしてる」


 彼は怯えながら私の顔を覗き込むとビクッと体を震わせて気持ちさっきよりも丸まったように感じる。


 「何そんなに怯えてるのよ。あなたどんだけ僕の鼻歌が好きなの?もう…貴方にはいつか…仮初の私の歌声じゃなくて…紛れもなく“本当“の歌声を聴かせてあげる…わよ」


 「ごめん。最後の方よく、いや全く聞こえなかったらもう一度聞いてもいいかな!?これは俺の人生の中でも特に!人生に関わる大事なことだから」


 「うっさい!死ね!」


 僕はイラつきながらも鼻でフッと笑った。

 「今、笑ったでしょ!」

 結局、いつもと変わらないこの流れが好きだ。

 「笑ってない。てか話を普通、何度も話さないでしょ?」

 ただ星空を一緒に眺めるのも好きだ。

 「でもさ、面接とか人生に関わることは聞き返してもいいじゃん」

 彼が奏でてくれる旋律が好きだ。

 「それは人生に関わるからでしょ?」

 ただ他愛もない話をして彼と一緒にいる時間も好きだ。

 「さっきも言ったけどね!?これは僕の人生に関わるんだって!」

 僕と彼との関係はこのまま続いていたらとても嬉しいと思う。

 「うっさい。そんな大声で言わなくても聞こえてるわよ」

 そしていつか…私の心が強くなって…勇気を出して私の秘密を打ち明けられたら。僕の全てを知ってもらってから彼に本当の私の歌を聞いてもらいたい。

 「なら、もう一度お願い」

 いや、彼だけではなく地球に住んでいるみんなに聞いて欲しい。

 そしてあの人のように誰かの人生を照らせるような人になれたなら…

 僕は夜が明けてこの世界を照らす太陽の方に一歩進んで少しあざとく首を傾けながら彼に振り向いて人差し指を唇に当てながら言った。

 「いつかね!」


 僕は悔いを残すことなく世界で一番幸せになるんだと思う

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