幕間.通話記録-1
(十月某日・午前・発信者キリサキ)
…やっぱりトライアルは必要?
唐突に始めちゃ心臓に悪いって言うかさ、ほら、なんというか準備運動無しでプール飛び込むみたいな?
あ、いや、それだと心臓に悪いのは飛び込んだ本人か。違うなぁ…、こうさ、見てるこっちの心臓に悪いと言いなおそう。いい例えがないや。
えー。
いきなりやっちゃうの?
ノリ気しないなぁ…。
いや、彼女がやる気なのはいいんだけどさ。空回りっていうの?そういうの困るわけでしょう?
あー、はいはい、解ってます解ってますよーだ。ただあの娘、結構我侭というか気が強いというか、…ツンデレ?…は違うか。とにかく、その正確が仇にならにといいんだけどさ。こないだだって勝手に動いたし、あやうくそっちからの承諾なしで事を起こすことに――。
え?ちょっと待った。本家は動かないのコレ?
げー、マジですかー。ていうか放置ってどういうことよー。そもそもこんな事放っておいたら、面目丸つぶれじゃんあっちもこっちも。こっちに動けって要請しといて、それは反則です反則。
…うん?
…あー、なるほどね。そういうこと。
はいはい。婆さんの意向に従います。従いますってば。
めんどくさいなー、もぅ。
…ただでさえ魔女は苦手だっていうのにさ…。
うっかり殺してしまっても責任取れないよ?
はーい。それじゃ、ユイと魔女が合流次第、件の彩宮早衣に接触許可しますねー。
それでは、次は“御使い”確保後に…。
(通話終了)