7話 メアリーの心(メアリー視点)
今回のストーリーは初の主観視点です
ある日、突き刺すような日差しが目に入り目が覚める
「んっ......もう朝.....ん~~~~~~よしっ、今日も頑張ろうっと」
グッと伸びをし支度をする。
「おはようございます」
「おっ起きたか、おはよ、朝食できてるぞ」
「ありがとうございます」
私はいつものように朝食を食べ、事務所の準備をする。
とは言ってもデスク二つ(なぜか元々二つあった)と応接用の椅子と机しかない手狭な場所なので準備でやることは簡単な掃除くらいだ。
「メアリー、すまんがこの依頼の収支を合わせてくれ」
「わかりました。」
あれから1週間.....
今私はこの事務所の実質的な経理担当だ。
手伝う必要はないと何度も言われたが、ただ守られるだけなのが嫌だった私は頼み込んでこの仕事をしている。
元々パウエル家は商社だったこともあり一通りのことは教わっていたため、仕事はすぐ覚えた。
「依頼の報酬が12万コルトで道具の購入額が......」
「次、これの計算頼む」
「はい、置いておいてください」
こんな感じで少しづつお願いされることも増えてきた。 今まで頼ってばかりだったので頼られるのはちょっと嬉しい。
「ふぅー.....あれからもう1週間かー」
少し息を吐いたとき、ふとそんなことが頭をよぎる。
1週間生活してみてレイという人物が少しづつわかってきた気がする。
普段依頼を受けるのはペット探しだったり浮気調査や詐欺の調査などがほとんどで、報酬だけでは到底食べていけないようなものばかり、なのに彼は「昔の蓄えがある」とばかり。
何か凄いことでもしたんだろうか。
彼自身はというと、基本は冷静でちょっと抜けてるところがあって、料理がすごく上手な男の人と言った感じ。
見た目は170cmくらいの整えられてない黒髪が特徴の男性だ
ちょっとしたことで驚いたりするし、昨日猫を捕まえた時なんかたくさん引っ掻かれてたりする面白い人だ
出会った時に見せた豪快な格闘の印象とは似ても似つかない。
「熱っ!」
今もコーヒーで舌を火傷している。
この生活は楽しい、
でも1週間経ってもあの時見た謎の光についてはわからなかった
「お邪魔するよ〜」
「あっ、スチュワードさん。 この前のクララちゃんの捜索についてですね。 こちらでお待ちください」
ペット探しの依頼人であるスチュワードさんが来た。
鉄道開発の仕事をしているらしい初老男性だ
「そうかい、ちょっと一服でもしますかね、ライターと、あった
いいオイルライターでしょ~高かったんだよ」
シュッ、ボッ
「おいちょっ! スチュワードさん、ここで火は.....」
「あっあぁ.....あぁぁぁーーー!!
やめて、助けて! 誰か!」
「メアリー!、落ち着け、大丈夫だから」
ふと我に帰ると、レイさんが私を抱きしめて慰めてくれていた。
「メアリー....大丈夫、大丈夫だから」
まただ
私はあの事件以来、火を見るとあの日の光景が頭に流れ込んできてどうしようもなくなる
レイさんはピーティーエスディーとか言ってた
「すっ、すいません、お騒がせしました」
「スチュワードさん、ここは火気厳禁だ、タバコは他所で吸ってくれないか」
「おっおう....わかった、気をつける、こっちこそすまんかった」
あの日から1週間経って気持ちの整理がだんだんついてきたけど、これだけは一向に治る気配がない。
「大丈夫か! 中から叫び声が聞こえたからびっくりしたぞ」
「あぁ、やっさんか....安心しろ、いつものだ.....」
「そうか....嬢ちゃん大丈夫か?」
私は息を整えながら首を縦に振った
だが正直にいえば、大丈夫ではない。
いつ何処で火を見るかわからない、また発作が来るかわからないというのは想像以上に堪える。
「ところでやっさんはなんでこっちに.....」
「あぁ、そうそう、この前言ってたやつの詳細がわかってよ」
この言葉を聞いて私は直感的に悟った
今、私の事件の歯車が動き出したと
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