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異界の探偵執行人  作者: マスカレイターズ
探偵と少女
3/9

3話 事件は炎に包まれて(前編)

「あれは昨日の夕方のことです。」

メアリーは事件が起こった時の事を語り出す。

その日、メアリーの誕生日パーティがあり、朝から屋敷の人間は慌ただしく準備をしていた。

「あら〜良いじゃないメリー!凄い似合ってるわよそのドレス!」

「もうお母様ったら…何もそこまでしなくても…」

「何言ってるのよ!大切な娘の誕生日なのよ!主役のおめかしなんて一番気合いを入れてやらなくちゃ!」

そう言いながら、メアリーの母は自身の娘の服を選ぶ。

「おい、そろそろ料理が運び込まれてくるだろ、手伝ってくれ」

メアリーの父がそう言うと、母は立ち上がり、屋敷に運び込まれてくる料理を受け取りに戻る。

「ふう…お母様に着せ替え人形のようにされ疲れたわ…少し休憩しようかな…」

そう言ってメアリーは眠りにつく。


…それが両親との最後の日常だと気付かずに。


1時間ほどしたのち…


部屋の外からの焦げ臭いにおいと、肌を焦がすような熱波でメアリーは飛び起きた。

「何かしら…この臭い…」

気になって部屋から出てみると、そこにあったのは、先程まで綺麗に飾り付けられていた家具や床、壁が燃え上がる屋敷だった。

「なに…これ…」

メアリーは困惑する。自分が寝ている隙に何が起こったのか分からず脳が理解を拒む。

「と、とにかくお父様とお母様のところへ行かないと…!」

メアリーが階段を降りた瞬間、先程よりも更に激しく階段が燃え上がる。

「お父様?、お母様?、どこにいるのですか?」

必死に声をかけるが、周りから聞こえるのは炎が燃え盛る音のみ。

そうしてたどり着いたダイニングでメアリーは衝撃の光景を目にする。

「お母様!しっかりしてください」

駆け寄り、揺するがメアリーの母はすでに息絶えていた。

「そんな…お母様…」

泣きそうになりながら母の亡骸を見つめていると、

「メア…リー…」

「お父様!」

声の方に振り替えるとそこには、何者かに刺され壁に寄りかかった父の姿が。

「どうされたのですか、すぐに止血を!」

必死に介抱しようとするメアリーの手をそっと父が包む。

「もう…いいんだ…僕はそんなに長くない…」

「何を言うんですか!、すぐ治療すればまだっ!」

そういいかけたメアリーの言葉を父は視線だけでとどめる。

「メアリー…おおきくなったなぁ」

「っ!」

その一言でメアリーは悟った、父は()()()()()()()と、それを父自身わかっているのだと。

刺された場所からとめどなく血が流れ出て、もはやあと数分で命が尽き果てる事を嫌でも理解してしまう。

「お父様…ぐすっ…死なないで…私を、一人にしないで…」

涙を流すメアリーの頭を撫でながら父はこう続けた。

「メリー…このメモを受け取ってくれ…」

父は先程から握っていた紙をメアリーに差し出す。

「これは…?」

「私の知り合いの居場所が書かれている…彼なら…きっと…君の助けになるはずだ…」

そう言うと父は冷え切った手でメアリーの頬を撫でる

「メアリー…強く…いき…ろ」

そう言うと父は息を引き取った

「お父様…お父様…!」

父の身体に縋り付き、年甲斐もなく泣きじゃくるメアリーの元に突如、怒声が聞こえた

「なんで燃えてんだよ畜生」

「誰!?」

すると男はメアリーに気づき近寄ってきた

「んだぁ?この女…まだ生き残ってやがったのか」

明らかにこの屋敷にいた使用人では無い男に、メアリーは恐怖する。

「貴方が…貴方がこの家を…家族を…!」

「あ?俺は燃やしてねぇ。燃えてたせいでここまで来るのも楽じゃねぇんだよ」

「まっ、そこの女共は俺が殺したがな」

男はメアリーの首を掴み、空中に持ち上げる。

「剣で殺るのも良いけどよぉ、やっぱ素手でじわじわ殺るってのも生と死を感じれていいだろ?」

「がぁっ…」

メアリーは首を絞められ、段々と意識が遠のいていく。

「いや…まだ死にたくない…まだ…何も分かってないのに…」

メアリーが意識を手放そうとした瞬間。

「俺はそんな指示はしていない」


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