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シン・ブラザー大戦 FOR 三田駿/世界と戦う兄弟達の物語/スマフォ版  作者: 長谷川 記央
Chapter 2: Where the Enemy Lives
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第8話 「戦いの合間の日常」

俺は日を改めて、示度の研究室を訪ねた。

ボルトやネジを避けながら、示度の席に近づいた。

大型コンピュータと薬品が置いてあり、見慣れない部屋だった。

「私の研究室に出向くとは、何かあったのかな?」

示度は俺がここに来るのを知っているかのように、笑った。

「手厚い支援については、御礼を申し上げる。」と、まず礼を言った。

「そうであろう。」

「無人ヒト型兵器。博士は関与しているんでしょうか?」

「何のことかね。」

「あえて、スカイブルーとベリーショートで応戦させた。」

しばしの間のあとに、薬品が小さく爆発する音がした。

「正解。」と、示度が応えた。

俺は示度という人物が何を考えているのか、理解に苦しんでいた。

彼の目的は何なのか、何をしたいのかが、分からずにいた。

「ベリーショートに搭乗させた理由は?」

「おまえが考えている通りじゃよ。」

示度が宝石のような赤い石のレプリカを見せた。

「ワイズストーンのレプリカ。この石には、何の力も無い。ワイズストーンの使い手である、三田みた 駿しゅんであればマジックストーンの象徴たるベリーショートを操れることは想像できた。スカイブルーに異物として其方が搭乗しても、起動したという情報は手に入れておったからな。」

「ワイズストーンの力を、博士は知っているんですか?」

「遙か昔の記憶が戻らぬお主には、解らないであろう。ワイズストーンは、人を楽園につれていく、そんな力があるのだ。」

「楽園?」

「地獄かもしれんがな。」と、示度が大笑いした。

「ビショップ、マジックは象徴する機体は、本来あるべき艦に戻った。今は、それで良いのじゃ。」

示度が戦艦グリーンに、スカイブルーとベリーショートを配置したい思惑があったことは分かった。しかし、戦艦グリーンの戦力を増強することとなり、敵意があるのか味方なのかが判断できず、余計に困惑した。

「無人ヒト型兵器は、ワイズストーンの力によって創造されたモノなのでは?」

「それはない。そろそろ、出払って頂く。実験が残っておるのでな。」

示度があっさりと答えると、俺を部屋から追い出した。


冷のいない戦艦グリーンのブリッジ。

「冷がいないなんて、珍しいな。」

美佳が忘れ物をしたのか、ブリッジに顔を出した。

「あれ、珍しいですね。」

俺が「何が?」と、美佳に返した。

章がブリッジに入ると、周りを見回す。

「珍しいこともあるな。」

章も同じ事をいう。

俺が「だから何が?」と言うと、美佳と章が目を合わした。

「冷がいないなんて珍しいから。」

章と美佳が、一緒に答えた。

「最近、戦艦グリーンにいないことも多いよな。」

章がニヤニヤしながら、俺に言った。

「冷にも春がやってきたのかな。」

美佳が野次馬のように、喜んでいる。

美佳が「けど、相手は誰なんだろうね?」と、不思議そうにする。

章が「新都市大阪国の誰かだろうな。」と、すぐに答える。

章が少し考えて「まずいな。戦艦を降りる、なんてことになったら。」と、慌てる。

陵が騒がしいブリッジに入り「何かありましたか。」と、俺たちを見た。

俺が「冷がいないから珍しいなって、話してただけだ。」と、言った。

美佳が「陵もしっかりしないと、冷のこと取られちゃうよ。」と、陵の肩をたたいた。

陵が「私はそういうことではないので。」と、冷たい目で美佳を見た。

美佳は後退して「本気なのね。」と、小さい声で言った。

章が「美佳。余計なことを言うなよ。」と、美佳を軽く叱った。

「ずっと戦艦にいたから、気晴らしがしたいんだろう。」

陵は「新都市大阪国から情報を入手しに、基地にいるようです。」と、俺に答える。

俺が「そんなこと、言ってたな。」と、美佳に言った。

美佳はつまらなそうに「じゃあ、失礼します。」と言って、部屋に戻っていった。

章も居心地が悪く「俺も、ここで失礼します。」と、部屋に戻っていく。

陵が「貴方がしっかりしないから、こういうことになるんです。」と、俺を睨んだ。

俺は「えっと。どういう意味ですか。」と、答えると、陵が俺の足を強く踏んだ。

俺は痛さの余り叫んで、ブリッジから逃げ出した。


戦況の思わしくない新都市大阪国は、第一艦隊に関ヶ原に向かうように指示が出る。

戦艦グリーンは後方で待機するように伝えられた。


隆とスマがすれ違った。

「今回はベリーショートに搭乗しないんですね。」

隆が「ああ。それが軍の命令だ。」と、答えた。

俺が「ヒト型兵器連の力を見させて頂くよ。」と、隆に声をかける。

隆が「なにが見させて頂くだ。何度も見てるだろ。」と、俺に敵意を向けた。


俺が戦艦グリーンのブリッジに戻ると、冷の姿があった。

「こちらの戦力は、逆戻りです。」

いつも通りの冷がいた。

魔法攻撃を得意にするため、新都市大阪国から配備されたヒト型兵器には搭乗せずに、名古屋共和国のヒト型兵器きしめんに、俺は再び搭乗することとなった。

「仕方ないだろう。」と、俺が冷に答えた。

スマが「今回は後方支援です。問題はないかと。」と、気休めの言葉をかける。

そして、俺とスマはヒト型兵器に搭乗する準備のため、ブリッジを後にした。

美佳と章は、定位置に座り、状況を静止している。

冷が後方にシン東京連合のヒト型兵器を確認する。

「機体情報は確認できません。」

冷が映像を転送する。

「またまた、厄介な展開だね。」

俺はシン東京連合の機体が最新鋭機であることに、嫌な気分になった。

「こちらは無駄に戦力を落とすことはできない。このまま、後方待機。」

冷が適格な指示を出す。

戦艦西成の主砲が発射されると、大きな光と爆音がする。

「けっこう、苦戦しているみたいですが・・・」

俺が出撃を促す。

冷が「後退にいる部隊が気になります。」と、答えた。

「ここからでは正確ではありませんが、機体情報がえられないので、新型機かと。」

美佳が後方部隊の情報を注視している。

「またも新型機か・・・」と、改めて自分たちの運命を呪う。

「接近してみるか?」と、章が声をかける。

次いで「冷、詮索するか?」と、陵が声をかけた。

スマが「こちらは準備できています。」と、冷に指示を仰ぐ。

冷は「艦を先行させる。」と、スマに答えた。

ヒト型兵器が戦艦グリーンに攻撃を仕掛けてきた。

ヒト型兵器の攻撃で、戦艦グリーンの装甲に弾かれる光。


「こちらはシン東京連合。攻撃を開始する。」



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