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第6話 「新都市大阪国・来訪」

「無人ヒト型兵器の撃破の任につく直前の話」


戦艦グリーンが示度に招き入れられている。

三田みた 駿しゅん。懐かしい響きじゃな。」

俺のことを、舐めるように確認する示度が、少し怖かった。

「お初にお目にかかります。戦艦グリーン・艦長の三田 駿と申します。」

「そのまっすぐで、宝石のような赤い瞳。世界の英雄のようじゃ。」

俺は示度が何を言っているのか、理解に苦しんでいた。

「私たちを要人として受け入れるメリットがありません。何を考えているんですか。」

冷が示度に率直に聞いた。

示度が笑いながら「私の計画に必要なのだよ。彼らが。」と、答えた。

『彼ら』というのは、誰を指しているのか、冷は確証が得られずにいた。

陵が「では、補給をお願いしたい。」と、示度に申し出る。

「それは当然である。」と、示度が答えた。

示度博士が「艦長以外のクルーは、自由に行動して頂いて構わんよ。」と、笑った。

俺は「俺以外って、どういうことですか。」と、寒気がした。

「ベリーショートの起動実験につきあって貰いたいのでな。」

冷が何か言いたそうにしたが、俺が目でそれを止めた。

「了解した。」

「今日のところは、ゆっくりと静養するとよい。」

「ありがとうございます。」と、陵が頭を下げると、俺も続くように頭を下げた。

そして、戦艦グリーンに戻ることとなった。


俺は1人で戦艦グリーンのブリッジにいた。

章と美佳が、格納庫にいることを確認する。

スマは、戦艦グリーンにはいないようだ。

陵と美佳は、町に買い出しに出かけていた。

「なんか、俺だけやることないな。」

戦艦グリーンのメインシステムは、冷の改良によって、普通の人間には操れない代物となっている。

「冷はさすがだな。」

戦艦グリーンに、冷がいないことも確認できた。

「ほんとに、俺だけ、やることないな。」

ベリーショートのパイロットの隆の情報を検索した。

「あれだけの魔力を放出したんだ。無理もないか。」

現在、入院中という情報が更新されていた。


ベリーショートの輝きが薄れていく。

「おい。大丈夫か。」と、俺が隆に気を遣う。

「だ、い、じょうぶだ。」と、隆が答える。

どう見ても大丈夫ではなかった。

「今まで、魔力を使ったことがないのに、無茶しすぎだ。」

ベリーショートの動きが鈍くなる。

「こうすれば、少しは楽になるはずだ。」

隆は、すでに意識がないようだった。


しばらくすると、冷が森ノもりのみや れんと戦艦グリーンに戻ってきた。

既に出払っていたクルーは、戦艦グリーンに戻ってきていた。

新都市大阪国の軍人も一緒のようなので、挨拶といったところだろう。

俺は食堂に場所を移すと、既に一通りのメンバーが揃っていた。

連が蒼太達に、俺たちを紹介する。

慎吾が「はじめまして!!」と、挨拶する。

難波が「あのときの!!」と、美佳を見て驚きの声をあげる。

「すでに知り合いなのか?」と、俺は冷と美佳を見た。

「バイク事故の青年。」と、美佳が答える。

「うちのクルーが迷惑をかけたようで。」と、俺が頭を下げる。

「迷惑をかけたのは、俺だ。」と、難波が俺に頭を下げる。

美佳が俺を睨み付けた。

示度がいつの間にか姿を現し「彼らは特別待遇で、私が要人として招き入れたのだ。」というと、不穏な空気が流れる。

「示度博士の計らいですか。」と、蒼太が疑問の声をあげた。

「彼らには、次の作戦を遂行してもらう。」

示度の言葉で、その場は収まったが、戦艦グリーンを快く思わない者が相当数いることが分かる。


ベリーショートの起動実験が始まる。

隆は軍服を脱ぎ捨て、すでに搭乗する準備が出来ていた。

俺も服を脱ぎ、搭乗する準備を終える。

「俺が、どうしてこんな機体に。」と、嘆いている。

「ベリーショート。古の機体。」

「ああ、知ってる。また、どうして、おまえとなんだ。」

俺に銃を撃たれたことを、未だに怒っているのだろうか。

「あのときのこと、根に持ってる?」

「根に持ってない。」

俺の体を液体が覆っていく

慣れない隆は、液体に戸惑っている。

「少ししたら、慣れる。」

「このシステム。スカイブルーも同様なのか?」

「ああ、そうだ。」

「骨董品は、悪趣味だな。」

俺は目を瞑り、起動することに集中した。

「整合率10%。起動しません。」

「異物を入れているかなら。」

「誰が、異物だ!!」と、隆が言う。

異物は自分の方だと思いながらも、起動することを続けた。

「隆は、そのまま集中してくれれば良い。」

ベリーショートの魔力が開放されていく。

俺の体が魔法で輝きをもち、ベリーショートも輝いていく

「手品でも始めるのか。」

隆は、どことなく心地よさそうにしている。


「俺がベリーショートに乗ることになるとは。」

「この機体の持ち主は別にいる。」

「ああ・・・わかっている。ベリーショート。」

「ワイズストーンの使い手が、何ようだというのだ。」

「レッドスターが幽閉されている今、俺はベリーショートの使い手でもある。」

「賢者の名のもとに、ベリーショートの担い手をやるというのか。」

「一時的なことだ。悪いが・・・」

「仕方がない・・・だが、本来の使い手を早く見つけ出すのだ。」

「ありがとう。」


ベリーショートに受け入れられると、魔力がベリーショートに吸収されていく。

「整合率30まで引き上がります。」

章が「これが、駿の本当の力・・・」と、驚いている声が遠くに聞こえた。



「無人ヒト型兵器の撃破した直後」


爆風の中から、ベリーショートが姿を現す。

ベリーショートの機体が、魔法で輝いている。

「俺は、俺の正義を貫く。」

その魔力は、隆から流れ出たものだった。

「無人ヒト型兵器、完全に消失。」

隆がホッとする、意識が遠のいていく。

俺は隆に魔力を注ぎ込む。

「整合率がさらに上がっていきます。」

「俺。あいつみたいな思い出、欲しかったのか。」

隆が笑って、学生の記憶をたどっていく。

「ベリーショート。何を見せようというんだ。」

俺が隆を、ベリーショートから引き戻そうとする。

俺の魔力が、次から次へとベリーショートに流れ込む。

隆の体にも流れ込み、隆の意識を維持している。


隆が「兄さん・・・!?」と、言葉を漏らした。


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