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第1話 「スマイル・シンプル」

「今度は完結させてね、駿くん。」


俺は戦艦グリーンのブリッジにいた。

「おはよう。」と、声をかける少女は日野ひの 美佳みか

彼女はいつも戦艦を明るくしてくれるクルーで、彼女がいるとホッとする。

「朝から元気すぎる。美佳は。」と、鷹田(たかだ) (れい)が返事をした。

「冷は元気がなさすぎる。」

俺はあくびをしながら「おはよう。」と、挨拶を返した。

「新しいクルーの出迎えの準備は終わってるのか?」と、俺が質問する。

冷は淡々と「問題ない。」と、返事を返した。


豊橋に到着すると、武装された街が姿を現す。

名古屋から浜松は、名古屋共和国の領地となっている。

魔法使いがエネルギーを生産し、供給している。

人々の夢や希望がエネルギーとなり、街の光となっている。

街の入り口には、物騒な砲台がこちらを睨む。

「こちらは、戦艦グリーン。所属は中立。対応をお願い致します。

事前に許可を得ていたので「話しは聞いている。入港を許可する。」と、無事に返事を得た。

魔法の壁がなくなると、圧迫した風が船艦を揺らす。

美佳は皮肉なのか「これはまた。たいそうな魔法バリアなこと。」と、眉間にしわをよせた。

俺は弟と会えるドキドキを抑えながら「さてと。出迎えにいきますか。」と、戦艦を後にした。


俺は1人で郊外に向けて、車を走らせる。

自然がなく、厳つい灰色・茶色の建物が並んでいる。

大型ビジョンには綺麗な菊川キララの映像が流れている。

「お疲れの後の一杯は、名古屋ビール。」

俺はビールを飲める人は、どのくらいいるのかと軽く笑った。

「富裕層の娯楽か・・・」と、作られた名古屋の平和に嫌気を指した。


車を走らせながら、スマ(スマイル・シンプル)のことを考えていた。

幼いときに離ればなれになってしまったスマ。

研究所から売り飛ばされた弟。

4人兄弟で暮らしていた時を思い出した。

幸せとはかけ離れていた。

けど、淋しいという感情を抱くことはあまりなかった。

この記憶が正しいのか、自信は無い。

けど、思い出す。

4人でいた幼き頃のことを。


目的の建物は、古びた建物だった。

「ごめんください。」と、銃を隠して、部屋に入る。

小汚い男が、俺に近づいてきた。

「悪いね。生活が苦しくて、買い取ってくれると助かるんだよ。」

俺はお金を差し出し、様子をうかがった。

「これでよろしいですか。」

汚い取引をすることに、罪悪感があった。

男が頷くと、スマを差し出してきた。

俺はスマの手を取ると、その汚い建物から出て行った。

「大丈夫か?」と、ふいに言葉が出ていた。

もっと気の利いた言葉をかけたかった。

「ええ・・・貴方みたいな若い方が、どうして人身売買なんて。」

「記憶がないのか。」

俺はどんな顔をして、スマを見て良いのか分からなくなった。

少し照れくさかったのもあって、何も言わずにネックレスを付けていた。

「強奪した方が良かったか?」

「強奪って、そんなことしたら大変ですよ。」

何を言っているんだか。

こういうときの不器用な自分が嫌いだった。

機械音が近づいてくる。ヒト型兵器のようだ。

「何かが・・・来る。」と、スマはスカイブルーを感じているようだった。

ようやく会えた弟を守らなければと、スマを守るために大きな壁を想像した。

「とりあえず、時間稼ぎか。」

ヒト型兵器アキンドが姿を見せると、スマを狙い撃とうとする。

「僕は、生きる価値なんてない人間。守られる価値はない。」

スマは生きることに価値を感じていないようだった。

だから「生きる権利がない者など、いない。」と、言葉を返していた。

スマが俺の顔を見て「このままだと、貴方の身がもたない。」と、言った。

「それでも守らないとならないものはあるんだ。」

自分の中から力が溢れてくるように感じた。

その力に反応するレッドスターの気配を感じた。

「レッドスター。俺の相棒。どこに行ってしまったんだ。俺の物語には、あの機体が必要だというのに。それとも、俺の物語ではなくなってしまったのか。答えてくれ。」

しかし、その気配は遙か遠くにある。

俺はレッドスターが自分の存在を必要としていることを、確信した。

スマが「どうして、笑っているんですか?」と、質問してきた。

自分が笑っていたことを知り、余計におかしくなった。

「いや、まだ見たことない相棒に呼ばれているような気がしてさ。」

魔力が増大し、銃弾を弾き返した。

スマが空を見上げると、スカイブルーが現れる。

俺は「スカイブルー。旧型機ではあるが・・・伝説の機体でもある。」と、動揺するスマに声をかけた。


スカイブルーが起動する姿を見て、俺は勝利を確信した。

スカイブルーが次から次へとヒト型兵器アキンドを撃破していく。

しかし、黒い不気味な機体が出撃するのを目視した。

「あれは、ブラックナゴヤか。」

冴島さえじま 唐次郎とうじろうの搭乗機。

「冴島氏の機体。警戒してください。」と、冷の指示が飛ぶ。

冴島が「人の陣地で、好き勝手なことをやってくれるな。」と、スマに襲いかかる。

俺は「そちらには負けるけどな。ファイアーアロー!!」と、攻撃を仕掛ける。

ブラックナゴヤの装甲に火の矢が突き刺さっている。

しかし、すぐに消火されてしまう。

「生身の人間が、我々に勝てるはずがないのだよ。」と、冴島がこちらに迫ってきた。

背後にあるバズーカを構えて、こちらを睨み付ける。

生身の人間が、あんな機械兵器に挑むなんて、無謀だっていうことは分かっていた。

「太陽より眩しいもの。光より速いもの。自然を見守る神々の力よ。我の力となりて、影たる存在を打ち消したまえ。ライトニングボム。」

俺は覚悟を決めて、全魔力を集中した。

「すべての忌まわしいものを、洗い流したまえ。ブルーウェーブ。」

スカイブルーが想像した大きな波が、ブラックナゴヤに近づく。

ブラックナゴヤは、ライトニングボムにバズーカを撃ち込む。

大きな光が放たれ、ブラックナゴヤの動きが静止する。

ブルーウェーブが、ブラックナゴヤを襲い、機体を後退させる。

俺は「今しかない。全員、退くぞ。」と、声をかけた。



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