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52/98

その51

私が毎日八坂詣でを続けたのは言うまでもなかった。


まずは、家内がいつもの場所に座っているかどうかを確かめる。

たまに、交代で休憩をとるようになっているらしく、いつもの場所にいないこともあった。

そうなれば、私は、家内が戻るまで境内を散策するだけになる。


この時期は、境内に繋がる道の両脇には夜店のようなものがたくさん出ていて、結構楽しめたものだった。

ただ、当時の私には、そうした店を覗いて歩くだけの心の余裕は無かった。



そうしたときだった。

いきなり背中を叩かれた。

叩いたのは男だとは分かった。それだけ強い力だった。


「久しぶりだなぁ~、山沖・・・。」

振り返ると、大学時代の悪友、兵頭篤志だった。

漬物屋の息子である。


「おお、兵頭か・・・。」

「な、なんだ? まだ、正月休みなのか?」

「ああ・・・、ちょ、ちょっとな・・・。」

私は、本当の話しは出来なかった。


「今はどうしてるんだ?」

私は、先手を打った。


「時間があるんだったら、その辺で茶でも飲むか?」

兵頭は私の格好を見てそう言った。

私が着物を着ていたからだろう。



で、兵頭に案内されて、甘党喫茶に入る。


「まあまあ、専務さん、いつもお世話になっております。」

兵頭を見た女店主がそう言ってくる。


「専務さんってか・・・。お偉さんなんだ・・・。」

私は、皮肉を込めて言う。

兵頭は、大学を卒業してすぐに父親が経営している会社に入社したから、いずれは父親の後を継ぐつもりだったのだろう。


「名前だけだよ。それより、お前はどうなんだ?

結婚はしないのか?」

兵頭は煙草を取り出して言ってくる。


兵頭は大学を卒業してほぼ1年後ぐらいに結婚をしていた。

大学時代から付き合っていた子とだ。

しかも、もう子供がふたりいた。



(つづく)




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