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その32

少し早いかと思ったのだが、遅れるよりはと考えて、まずは営業部長室に向かう。

10時5分前に来いと言われていたからだ。


ノックをすると、中から「どうぞ」と返事がある。

それを確認してから私はそのドアを開けた。


「ん? おう、もうそろそろだな。」

私の顔を見た田村部長は、改めて時計を確認する。

営業三課の課長と何やら打ち合わせ中のようだった。


「では、そう言うことで進めさせて頂いてもよろしゅうございますか?」

三課長が言っている。


「う~む・・・。もう少し考えさせてくれ。明日には答えを出す。」

部長が保留をする。


「分かりました。では、よろしくお願いいたします。」

三課長は、それだけを言って拡げていた書類をかき集めるようにして小脇に抱えた。


「じゃあ、明日の10時にここに来てくれ。」

「承知いたしました。では、失礼を・・・。」

三課長は、それだけを言って部屋を退出した。



「待たせたな。じゃあ、行こうか。」

三課長が部屋を出たのを見送ってから、田村部長が私に言う。


「あ、はい。」

私は、部屋に入ったすぐのところで待機をしていた。


部長は脱いで椅子の背もたれに掛けていた上着に袖を通す。

そして、引き出しから何やら紙切れを取り出してきて、胸の内ポケットに入れる。


「よし。じゃあ、行こう。」

部長はそう言ってドアの方に向かってくる。

今から支店長室に連れて行って呉れるようだ。


私は部屋のドアを開けた。

当然に部長を先に通してから自分も出る。

そして、そのドアをしっかりと閉める。



「どうだ。もう職場の雰囲気にも慣れただろ?」

エレベーターに乗ってから、部長が訊いて来る。


「あ、はい。何とか・・・。」

「新婚早々に海外赴任があるとしたら、君はどうする?」

田村部長がとんでもないことを言い出した。


「ええっ! 海外に・・・ですか?」

私は、もちろん即答など出来はしなかった。



(つづく)



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