プロローグ
いろんなゲームが流行する中で、息の長いゲームもある。
そのひとつが、いわゆる『人生ゲーム』って奴だ。
その原型は1860年頃にアメリカで誕生したらしいが、日本版は1968年(昭和43年)に発売されたのが最初だそうだ。
今でも、改良版が店頭に並んでいる。
基本的には、言わば「すごろく」である。
人生におけるいろいろな場面を想定して作られているが、要は「人生の成功者」という「あがり」を目指していくゲームだ。
昭和43年と言えば、高度成長期に差し掛かった時期。
学生運動が盛んになり、3億円事件が起きた年でもあった。
それから、ざっと40年以上が過ぎた。
その『人生ゲーム』を自分が買うことになった。
生まれて初めてのことだ。
それが発売された頃には私は既に社会人だったから、とてもそんなゲームで遊ぶ余裕も無かった。
子供にもそうしたゲームを買い与えようとも思わなかった。
だが、孫から「これがほしい」とおねだりされれば、「よし、買ってやろう」と即座に了承をする。
如何にもいい加減なお爺である。
だが、そのことが原因で、こうした小説を書くことになるのだから、それこそ「人生とは面白いもの」である。
(つづく)