第三話 グダグダ
守善がヒデオ、芹華と即席チームを組み、Dランク迷宮に挑んでから約六時間が経過した。
一般的な冒険者なら一階層踏破に一時間程度。だが攻略に挑む三人は常日頃から迷宮攻略に勤しみ、手持ちのカードも十分に育成された二ツ星冒険者たちだ。
Dランク迷宮といえど浅い階層では弱いモンスターしか出現しない。
三人で合計六枠までしか召喚できないとはいえ、モンスター達の役割分担も決めた上で陣形を組み、スペックの暴力を振りかざして調子よく攻略を進めていた。
概ね十階層から出現する敵の強さがワンランク上がり、俗にEランク階層などとも呼ばれる。
とはいえ十階層までの調子よく進んでいた攻略状況なら問題ないだろうと。三人は特に打ち合わせすることもなく、意見を一致させ……ものの見事に苦戦していた。
◇◆◇◆◇◆◇
守善達三人の戦術に明確な問題があったわけではない。むしろ彼らが組んだ陣形は基本に忠実なオーソドックスなものだ。
索敵役兼釣り役として鴉天狗、そしてマスターの護衛役として狛犬と獅子を守善が担当。
回復支援の中衛として妖狐を、罠解除役兼前衛としてコボルトを芹華が召喚する。
そして攻略の主力として前線を張るのは志貴ヒデオが誇るエース、遠近双方の攻撃手段を揃えた万能型アタッカーのホムンクルス+装備化スキルを持つリビングアーマーだ。
(先輩達が目をかけるだけのことはある。二人ともいい腕だ。モンスターも粒ぞろい。リンクが使えるのは嬉しい誤算だな)
鴉天狗が先行して周囲の様子を探り、敵モンスターを見つけたら倒せそうなら討伐。難しいようならばおびき寄せて待ち伏せにかけたり、あるいは素直にそのルートを回避する。
強敵と戦わざるを得ない場合は前線を一騎で支えるヒデオのホムンクルス、リオンと名付けられた個体の出番だ。
(リオン……レビィと同じホムンクルス。俺以外にもホムンクルスを、しかもエースとして起用する変わり者がいるとはな。しかも物理・魔法の両方が得意な魔法剣士タイプ。なにより【魔法剣】スキルが強い)
そのスタイルはいわゆる魔法剣士。
武術・剣術スキルに支えられた確かな近接戦闘技術と中等攻撃魔法スキルの組み合わせ。加えて後天スキル・魔法剣という剣戟に魔法を上乗せて威力を強化できる稀少スキル持ち。
この魔法剣を用いた一撃の威力はこのパーティーの中でもトップクラス。格上にすら通用しうる必殺の威力を持つ。
そしてホムンクルス特有の脆さと地力の低さをリビングアーマーの装備化スキルで上昇する耐久力と膂力で補っている。
このセット運用で多少俊敏性が低下することを代償に前線の構築を一騎でこなせる強力な騎士として、ホムンクルスを機能させていた。
直接戦闘を避けて奇襲からの暗殺をメインとするアサシンタイプのレビィとは同じ種族とは思えない程にバトルスタイルが異なっている。
そしてどちらのホムンクルスも適性外の役割を無理にこなしている感覚がない。各種の後天スキルを用いてリオンは強力な魔法剣士として、レビィはアサシンとして活躍している。
あるいは、こうした成長性、拡張性こそがホムンクルスの特徴なのかもしれない。
同じホムンクルスでも従えるマスターとその運用方法によって最終的なバトルスタイルは千差万別に分岐していくのだろう。
ある意味ではマスターの育成手腕やコンセプトが最も顕著に顕れる種族と言える。
事実としてヒデオのエースであるホムンクルスは守善が悩まされた種族特性の虚弱さが嘘のようにその戦いぶりは安定して力強い。
守善が素直に感心し、参考にしたいと思ったほどだった。
(うちのレビィじゃ逆立ちしてもアレは出来んな。同じホムンクルスとは思えない、正面から敵を打ち倒す強さ。だが戦力強化の方向性は見えた。レビィに合わせるならアレとアレを……)
とはいえいくら強力でも単騎では打ち漏らしも出てくる。戦い続けていれば回復だって必要だ。
そこを支えるのが芹華が召還した妖狐であり、ともに前線を支えるコボルトだった。
妖狐は狐耳を生やした和装の女の子モンスターであり、初等魔法を一通り扱える初等魔法使いスキルを持つ。更に後天スキルに中等補助魔法を持っているようだ。幅広い場面に対応出来る優秀な後衛である。
そして芹華が召喚するコボルトだが、そこらでドロップするEランクのコボルトではない。ドイツ産のネイティブカード……日本でドロップする通常のコボルトよりワンランク上の戦闘力と閉所戦闘における行動全般にプラス補正が入るスキルを持つカードだ。更に罠解除スキルを持ち、前衛としても優秀。
(コボルトのネイティブカード。ウェストウッドは札商と繋がりでもあるのか? 実家が裕福そうな口ぶりだったがそっち関係か)
前衛を務めるホムンクルス・リオンが傷つけば妖狐が即座に回復し、討ち漏らした残敵は予備戦力としてコボルトが対処する。
それでも前線を突破したモンスターがマスターに襲いかかってきたときは、ガード役の狛犬と獅子が押さえ込む。
Eランク階層から出現するトラップにしても空を飛べる鴉天狗は大概のトラップを回避できるし、罠解除スキルを持つコボルトもいる。
戦力は十分、問題はないはずだった。Fランク階層では上手く噛み合い、まさしく蹂躙と呼ぶべき勢いで敵を蹴散らしていた。
(……敵の動きが変わった)
その潮目が変わったのはEランク階層である十層に乗り込んで敵モンスターの強さがワンランク上がったタイミング。敵モンスターがこのダンジョンの本領を発揮し始めたことがきっかけだった。
(アンデッドモンスターの不死系スキルに眷属召喚スキル持ちの雑魚敵……組み合わされば腹が立つほど厄介だな!)
いま守善達が攻略しているのはただのDランク迷宮ではない。
攻略できれば三ツ星合格は確実と呼ばれるほどの、Dランク迷宮でも最難関と呼ばれる高難易度ダンジョンだった。
出現するモンスターの傾向は悪霊・屍鬼などのアンデット系。保有スキルの傾向は不死、状態異常、そして――眷属召喚。
そう、このダンジョンは敵に回せば恐ろしく、味方に回れば頼もしい眷属召喚スキルを持つモンスターが他所と比べてかなり多く出現する迷宮なのだ。しかも不死系スキルもちのアンデットモンスター。大体の場合頭か心臓を潰す必要があるタフさを誇る。
タフな雑兵が無限召喚されて襲いかかってくる地獄……それがこのDランク迷宮だ。
「敵ゾンビ群のさらなる増援を確認した。守善、眷属召喚持ちは見つかったか?」
「まだだ。このフロアの三割は既に索敵済み、だが今のところ朗報は無しだ」
「そうか。すまないが、急ぎで頼む。見ての通り、ジリ貧だ」
「言われんでも分かる。なにせ当事者だからな」
「それはそうだな。ハッハッハ!」
眼前にはEランクモンスター、数十匹のゾンビが群れをなして襲いかかり、リオンを始めとしたモンスターが押し留めている。彼らが稼いだ時間で索敵役のハヤテが大急ぎで眷属召喚スキル持ちを探索中だがいい報告はない。
ジリ貧と言える苦境に軽く肩をすくめてやりとりを交わす守善とヒデオ。軽口を叩く二人が気に入らなかったのか、芹華がトゲのある視線を向けた。
「お二人とも、随分と余裕ですわね」
「焦ってもどうにもならん。やるべきことはやっている。あとは果報は寝て待つさ。ま、騒がしくてとても寝られそうにないが」
「同感だ」
芹華の苛立ちを軽く受け流す男二人。とはいえ見かけほど彼らにも余裕はない。
一ヶ所に固まって、背中合わせにカードたちに守られる三人のマスター。彼らは今、無数の眷属モンスターに囲まれ、完全に敵の術中に嵌っていた。
倒しても倒しても次から次へと敵の増援が現れる。対して増援の源である眷属召喚スキル持ちのモンスターは一向に見つからない。
広範囲を探索できる鴉天狗がいながらこの状況は少々腑に落ちないものがあったが、周辺一帯を全て探索できたわけではないし、見落としがないと言い切れない。今は一刻も早い鴉天狗の朗報に期待するしかなかった。
二ツ星冒険者が三人も雁首を揃えて何故こんな苦境に陥っているのか。守善は苛立ちに唇を噛むのをこらえ、冷静に思考する。
(……二人とも腕は良い、モンスター達も十分鍛えられてる。認めたくないが、このピンチの原因は俺達……俺の采配ミスだな)
守善が考えるに苦戦の原因は二つある。
まず一つ、召喚するカードの選択ミス。もっと言えばマスターを守るカードの不足。
召喚制限からやむを得ない部分もあるが、各マスターに対し専属で護衛するモンスターを付ける余裕がない。特にマスターのガード役を一手に引き受ける狛犬と獅子が守善一人の手持ちであるということが大きい。
ホムンクルスとコボルト、そして妖狐をもっと機動的に動かせば今より遥かに殲滅効率は上がる。
だが現状は寄って来る敵を散発的に薙ぎ払い、専守防衛に徹するばかりで有効な対策を打てていない。
何故か。
シンプルに言えば今日初めて会ったばかりの他人を信用しきれないのだ。
ヒデオのホムンクルスたちを動かせば、マスター達を守るのは狛犬と獅子の二匹だけ。
狛犬と獅子の名誉のために事実を記せば、ゾンビが群れをなそうと彼ら二匹だけでも三人のマスターを守ることは十分に可能だ。
だが、もしも。
もしも守善がさらなる苦境に自分のカードを手元に集め、残り二人のガードを手薄にしたらどうなるだろうか。
万が一が起こりうる。当然そう考えた二人は自分のカードを手元から離せない。結果として戦力を有効に使えず防戦一方になっている。
ごくごく当たり前の話だ。慎重な冒険者が今日会ったばかりの他人に自分の命を握られている状況をヨシと出来るはずがない。
一人のマスターにつきカードは二枚までという召喚制限は一度防御に回ってしまうと途端に柔軟な運用が難しくなってしまうのだ。
(それでも、もう少し噛み合って動ければまだマシだったが――)
守善が苦虫を噛み潰したような顔をした。
彼らが抱えるもう一つの問題は互いの連携不足だ。それがこの苦境で覿面に現れていた。
「行くぞ、一息に蹴散らしてやる!」
そう叫び、雷系統の中等攻撃魔法を手に持つ大剣に帯電させるリオン。大剣からバチバチと雷電が迸り、大技の予兆を感じさせた。
マスターたちに最接近していたゾンビの一群に向けて、火力を溜め込んだ魔法剣を繰り出そうとしたその瞬間。
「お行きなさい、ボッくん!」
同じ標的に向けてコボルトが聖銀製の斧を振りかぶっていた。
その動き出しはほぼ同時。マスターの指示に従い、同一標的に向けて二体の攻撃が重なってしまった。リオンの強烈な魔法剣にコボルトが巻き込まれる動き――フレンドリーファイアだ。
あっと全員が驚き、動揺と後悔の声が重なる。
「オッ、……ラアアアァァッ!!」
「”ボッ”……”ボォォッ”――!!!」
間一髪。
ギリギリで魔法剣の軌道をズラしたリオンと、ほとんど転倒に近い動きでかろうじて魔法剣が放つ雷撃から逃れたコボルト。両名の努力がギリギリで実を結び、友軍への誤爆は免れた。
とはいえ息をつく暇もなくゾンビはやってくる。その対処に手を取られながら互いに悪感情を投げあっていた。
「テメェ、なに邪魔してやがる!?」
「なにを……! あなたこそもう少し考えて動いてはいかがですの!」
「言い争ってる場合かアホども!? 敵が抜けたぞ!」
その連携ミスによって全体の動きが乱れる。同じ敵に同時に攻撃したことが、結果的に互いの動きの妨害となってしまった。
結果、連携不足により大きな隙が生まれ、戦線に穴が開く。開いた戦線を抜けてマスター達目掛けて無数のゾンビが迫ってきていた。
「行くぞ、弟者!」
「おう、兄者!」
が、焦るような場面ではない。護衛として控えていた狛犬と獅子が防衛線を抜けたゾンビの群れに対処するために前に出ようとする。
「待って、そこ邪魔です!」
そう悲鳴交じりに注意を促したのは二匹と同じことを考え、状態異常魔法を飛ばした妖狐である。
さっき起きたフレンドリーファイア未遂の繰り返し。意思伝達の失敗による連携ミスだ。
「――避けろ!」
咄嗟にリンクを用いて半ば無理やり飛びのかせる守善。
そのおかげでフレンドリーファイアは免れたが、防衛線を抜けたゾンビの対処は中途半端なものになってしまった。
本来ならたやすく打ち倒せるはずのゾンビたちを瞬殺出来ず、先ほどの記憶が忘れられず、ついつい後ろを気にしてしまう。
そして前線で戦う意識のモンスターも己のマスターに迫るゾンビたちを気にして本領を発揮しきれない。
重ねて言うがこの場の三人は優秀な二ツ星冒険者だ。
彼ら一人だけで六体のモンスターを召喚して戦っていれば、今頃ゾンビの数はもっと減っていただろうし少なくともこの場から離脱することは問題なくできていただろう。
ならばこの苦境の原因はと問われれば、繰り返しとなるが信頼と連携の不足、またそれを踏まえた采配が出来ていないことだ。
「グダグダだね」
「グダグダだな」
そんな彼らから少し離れたところで上級生二人が後輩たちの戦いぶりをそう評した。
自身の召喚モンスターに屍鬼の群れを適当に迎撃させながら余裕を漂わせての寸評。後輩達に合わせてそれぞれ二体召喚に押さえていたが、響とカイシュウが率いるモンスター達はお手本のような連携を見せていた。
「リオン……あのホムンクルスはシキ君がエースと誇るだけはある。あの面子じゃ随一の戦闘力だね。本気を出せばゾンビの群れ程度簡単に蹂躙できるだろう」
「が、思い切りが悪い。さっきのミスで味方を巻き込むことに躊躇してるな。何よりヒデオはともかくリオン自身がマスターを気遣いすぎだ。チラチラ後ろを気にして実力の半分も発揮出来てねぇ」
「纏めると優柔不断。攻撃に専念すべきだが、防御に意識を取られて戦力を有効に活用できてない。運用の問題も大きいけどね」
響の総括にカイシュウが頷いて同意を示す。
続いて視線を移すのはフォローに入ろうとして四苦八苦する芹華の姿だ。
「芹華は意外と周囲が見えてる。だからフォローに入るのはあの子が一番早い。根が優しいあの子らしい采配だ。
だけど結果として肝心のフォローが連携不足でミスに繋がり、隙が大きくなってる。一度の失敗が二度目に繋がり、次の動きへの躊躇いを生む。悪循環だね。
多人数パーティーでの立ち回り方の知識不足。ソロで攻略し続けてきた弊害がモロに出てるなぁ」
「初々しいもんだ。ま、あれなら多少仕込めば十分修正範囲内だろ」
本人からすれば屈辱的な無様を晒す芹華を初々しいと評する二人。彼らにもかつて目の前の三人と似たような時期があったのだ。自身の才覚とカードを頼りに突っ走り、挫折した経験が。
「一番冷静なのは堂島だな。できるだけ淡々と自分の役割をこなそうとしている。
が、自分の役割に固執しすぎて二人のフォローをうまく生かせてないし、逆にフォローする回数はあいつが一番少ない。他人との組み方はあいつが一番下手そうだ」
「冷静な分どうすればいいかは見えてるはず。けどそれを初対面の二人に上手く伝えられていないね」
「ま、そこもちと手を加えれば改善するだろ。吹っ切れればああいうタイプはむしろ指揮官向きだ。加えて腸が煮えくり返ってるくせに冷静に動けているのはポイント高いぜ」
他人と協力するという点で一番問題があるのは守善だろう。率いるモンスター達と心を交わし、多少なりとも丸くなった。それでも他人を信用するのが苦手分野であるところは変わっていない。
役割に固執するのも、必要以上に他者のフォローを控えるのも根っこはそこだ。
「本来なら余裕で倒せる相手のはずだが……三人それぞれがチームプレイに問題を抱えてる」
「結果として、敵より味方を気にして始まる大苦戦。パーティーを組んだことが一切メリットになってない典型的な悪い例だ。典型的すぎてちょっと懐かしさすら覚えてしまうね」
「まーな。俺、お前、伏黒の三人で初めて迷宮に潜った時を思い出す」
「いや、私達も大概酷かった。あの三人を笑えない醜態を何度も晒したからね」
若干の羞恥心と懐かしさを滲ませて相槌を打ち合う響達。かつて自分達が陥った苦境の焼き直しを見ているようだと感じ入るものがあった。
「総評すると全員光るモノがある金の卵。だけどパーティーに組み込むには技術、知識以前に連携や信頼が圧倒的に不足してる」
「これまでソロで突き進んできた実力のあるやつが陥る落とし穴だな」
「気持ちは分からないでもないけどね。パーティーを組めば間違いなく戦力や安全さは増えるけれど報酬の取り分だったり、人間関係が面倒になる。こっちの二人は人当たりがいいとは決して言えないしね」
「うちのヒデオはそこまで悪くはないが、流石に初対面の二人に合わせろってのは厳しかったか」
そう考えると予想内の光景ではある。というよりも、この状況を作り出すためにわざわざ召喚制限のルールを追加したのだ。
「さて、ここからどう立て直すか」
油断なく、いつでも助けに入れるように三人の様子を伺う響とカイシュウ。そしてその傍らで彼らのモンスター達は無造作にゾンビをなぎ払っていた。
現在攻略中のDランク迷宮の難易度ですが、概ね原作で主人公チームが専有している準シークレットダンジョンのDランク版と想定してもらえれば。
ボス部屋以外召喚制限二枚×不死スキル×眷属召喚持ち多数=クソゲー級ダンジョンの方程式は原作を見ていると納得いただけるはず。
そして難易度とリスクの割にリターンが小さいので、自主的に潜る冒険者がほぼ皆無の過疎ダンジョンでもあります。
なんでそんなダンジョンにわざわざ召喚制限まで付けて潜ってるのか?
理由は色々ありますが、一つは普通のDランク迷宮かつ召喚制限なしの場合、この三人が集まると蹂躙にしかならず有益な経験にならないというのがあります。
言い換えると即席チームの三人を追い込むためにはここまでしなければならないということでもあり、その化け物ぶりが多少なりともお察しいただけると思います。
先輩達も一見ただ煽っているだけのように見えますが、後輩達の指導のために色々と頭を捻っているのです。
【Tips】ネイティブカード
その国や地域が発祥で、他国に比べて性能が高い種族のカードを、ネイティブカードと呼ぶ。
ネイティブカードは戦闘力がワンランクからツーランク高いだけではなく、そのスキルも他国のカードと比べて遙かに性能が高い。
たとえば、国外産のクーシーが気配遮断、良くて透明化のスキルしか持たないのに対し、本場アイルランド産のクーシーは、妖精を連れて自在に妖精郷(位相の異なった隣の次元)へと出入りすることができる異空間移動スキルを持つ。
これはクーシーという存在に対するその地の人々の『理解』と『親和性』に対する差によるものである……と、主張する研究者もいる。
※上記は原作者である百均氏より許可を頂き、転載しております。
※2022/03/14 原作に合わせて修正実施
【Tips】コボルト(ネイティブ)
本作オリジナルモンスター。
芹華の所有するコボルト『ボッくん(ここまで一つの名前)』はドイツ産のネイティブカードであり、日本産のコボルトとは比較にならないほど強力。
Dランク中位相当の戦闘力と下級地精霊スキル(低位の地形操作及び地質操作を内包)を持ち、閉所戦闘のスペシャリスト。精霊鉱夫の性質が強く顕れたモンスターであり、手先が器用なことから後天スキルに罠解除スキルも持つ個体が多い。
一見すると見かけは普通のコボルトと変わらないので、試しに模擬戦をすると外見詐欺からのノックアウトを食らうことも。