最終話 書物『ロウ戦記』
────以上が私(星の観測者)が記録したこの惑星の記憶である。
主の子、ロゼデウスは未来ある若者に拾われた。そしてこれはその軌跡。
だからこの書物をこう名付けよう──
我が主(ロゼッタストーンの本体)はこの地に子を落として以降痕跡を残したまま消えている。もうこの領域の宇宙からは去ったであろう。
結局、我らも主の謎を知り得ぬままこの体の生涯を終えることになりそうだ。無念である。
しかし、誰かがこの書物を手に取ることがあるのなら…その時は希望に変わるだろう。
この宇宙はあまりにも広すぎた。遥か彼方の太陽系でしか生命は発生せず、ただ我らは何もない宇宙を漂うばかり。
ああ、なんてつまらないのだろう。
永遠かに思えたこの命が尽きる時、ヒトは後悔する。かつては私もヒトであったが永らくその感情を忘れていた。
やはり私も人の子だ。だから、この宇宙を知るには早かった。
「…u」
何かに呼ばれた気がしてふと後ろに振り向いた。何も居なかった。
「…ou」
また、何かに呼ばれた気がした。
「rou」
三度目ははっきりと聞こえた。
私の耳元ではっきりと「ロウ」と呼んだのだ。
「そうだ…思い出したぞ…」
死に際にそれを理解した。
私はロウ、私はロゼッタの子。
蝋人形のように産まれては壊され、また作り直される神の傀儡。
結局のところ、私はヒトにも神にもなし得なかったのだ。
これは私が戦った軌跡。
すなわちロウ戦記である。
ロボアニメのかっこいいシーンを集めた結果、普通の小説家なら単行本5~6、7冊分は書くであろう内容が一冊分にまで圧縮されてしまった。
そんな作品を今日書き終えることが出来て感無量でいるところです。
本来なら新人類編、宇宙編、最終戦争編と分けて書く予定であった最終章。情報量の大渋滞が起こっています。実はまだ回収しきれていない伏線もあったりすることには今気が付きましたが…まあ許容範囲内でしょう。
最後にここまで読んで下さった皆さん、ありがとうございました!また次の作品でお会いしましょう!