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ロウ戦記 a master called me a rou.  作者: みそラーメン
辺境の村 編(プロローグ)
2/51

第二話 もう一人の炭鉱夫

ロウボット、それはおよそ200年前のコールランドでとある博士が発明した人類最古のロボットである。現代でも理解不能なその技術力はオーバーテクノロジー、言わばオーパーツとされている。そんな旧式ロウボットがこの日、ホロウス辺境の村で再び目を覚ましたのである。


───────────────────


翌朝、ガレージからのアラームの音で目を覚ます。あらかじめ切り分けてあったパンに半熟の目玉焼きとベーコンを乗せて口に咥えると急いで家を後にした。

炭鉱夫の朝は早い、なるべく昼間の電力消費は少なく済ませたいようで炭鉱での作業は明るい内に行うことになっている。

とは言うのもこの村の電力は小さなソーラーパネルから賄っており財力に比べて貧しい生活になっている。


「おはようございます!」


「おう、グレンか。なんだいつもより元気そうじゃないか?何か良いことでもあったか?」


「いやあ、そんなことないですよ親方」


「へぇー、じゃあ後ろに居るロウボットは何だ?」


「へ?」


親方の指摘で後ろを振り向くとそこには「ロウ」が立っていた。


『ドウモ ワタシ ハ ロウ デス。』


「へぇ、こいつは驚いた。お前こいつをどこで拾ったんだ?」


「自作ですよ、毎晩コツコツ整備してたんです。」


口では驚いたと言っている親方だがその顔はむしろ険しく変化していた。

そして、ロウボットに興味を示すかのようにアレックスを始めとする炭鉱夫たちがワラワラと集まってきた。


「すげー!ちょっとさわらせてくれよ!」

「おいっ!誰が持って来たんだ!?」

『グレン チガウ』

「こいつ喋るぞ!」

「俺にも見せてくれよ!」

「待て待て、そう易々と触るな!」


大盛況だ。


「おい!お前らいい加減にしろよ!さっさと持ち場につくんだ!」


「へいへい、行こうぜ」


「おう」


親方が切れたからか渋々仕事が始まった。カニング炭鉱は毎朝の親方の怒声から仕事が始まる。それはいつもと変わらない様子だった。


「グレン、ちょっと来い」


「はい?なんです?」


「こいつ使えるか?」


親方はロウに向けて指を指す。


「親方…まさかロウに仕事をさせる気ですか?」


「駄目なのか?」


「駄目じゃありませんけど…電力が持ちませんよ?」


「電力なら問題無い、緊急用の一週間分の蓄えがある。それで事足りるだろ。」


都での一週間分の電力はこの村の一ヶ月分に値するほど貴重だ。それをロウに使うとはどんな風の吹き回しなのだろうか?


「ほら、仕事に回れ!」


彼がそう言うと今日の仕事が始まった。「カニング炭鉱組合」炭鉱入り口の看板にはそう書かれている。

ロウの腕を掘削機に取り替えると待ってましたと言わんばかりに壁を掘り進め始めた。

驚く程のスピードで採掘作業が進んでいく、昼休憩になる頃には石炭が10箱ほどかさばっていた。


「あーあー、これだけ掘っても石炭しか採れないのかよ」


アレックスはそう愚痴を呟きながらハムサンドを頬張る。


「そんなことはねぇぞ?利益を計算してみた所この時点で通常の6倍の給料になりそうだ」


「マジっすか?通常の6倍ってホロウスレートで約600cじゃないすか!?」


親方の計算に驚くアレックス、同じく休憩中の炭鉱夫全員に緊張が走る。

600c…1日でそれだけ貰えればホロウス第二首都のソウドレスでも生活出来る、それどころか本国にも移住できるかもしれない。


「しっかし、半日でもう稼ぎ頭になっちまうなんて恐ろしい機械だなロウボットってのは」


『ロウボット 恐ロシイ?』


「心配すんな、良い意味で恐ろしいんだ。明日も頼むぞ?」


「あ、明日もですかっ!?」


恐ろしいことにロウに仕事を取られてしまったグレンであった。

一方、ロウはというとすっかりと仕事が板についてきたようでもう一人の炭鉱夫と言っても過言ではなくなっていた。


『ヤレヤレ 大変デス』


ロウの声色は少し嬉しそうな素振りを感じさせるものであった。

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