第1話
いつも通りの見切り発車なので、途中から途絶えてしまう可能性大です。なので、始めに謝っておきます。ごめんなさい。
【勇者】・・・それはこの世に生を受けてから誰もが1度は夢を見る憧れの職業である。しかし、その職業を就く迄の過酷さ困難さにおいて諦めざるを得ない程の職業であると同時にその希少さ故にこの世界において勇者という職業は国家資格とされている。
では、勇者とは一体どんな職業なのか?夢物語に出てくる様なバッタバッタと迫り来るモンスターの群れを薙ぎ払い、ドラゴンを単騎で屠り、捕らわれた何処かの国のお姫様を颯爽と救い出す華々しい活躍をする職業なのだろうか?
答えは【否】だ。
確かに勇者という職業に就く者達は全てに於いて高水準の戦闘技能を有している。だがそれは勇者という職業に就く為には必要最低限の事項なのである。
数々の神話や英雄譚に出てくる主人公は全て勇者とは限らない。例えば、他国の侵攻から救った英雄の職業は【聖騎士】であり、世界に蔓延した病を救った職業は【聖女】である。
そう。勇者とは別の職業であっても職業を限界迄突き抜けてしまえば勇者を越える存在へと成り獲たりするのだ。
では勇者とは一体なんなのか?それは勇者が唯一無二のスキル【破邪の力】を使う事が出来るからである。破邪の力とは魔を滅する力であり魔王に唯一対抗出来る力とされている。
【魔王】とは7つの大罪である【傲慢】【嫉妬】【色欲】【暴食】【憤怒】【怠惰】【強欲】その全ての集合体である。
それら全ての集合体である魔王を祓う力こそ破邪の力とされている。
しかし勇者という職業に問題がない訳ではない。それは何か?
確かに破邪の力は魔王に対抗しうる唯一つの力だが、魔王という存在そのものが、毎回毎回登場する訳もなく・・・しかしながら有事の際にはいてもらわないと困る職業でもあり、何とも宙ぶらりんな職業でもある。
他にも問題はある。先程、高水準の戦闘力を要していると説明したが、これにもちょっとした問題があり、勇者は攻撃・防御・魔法・回復と全てをこなすオールラウンダーなのだが、限界迄突き抜けた職業に比べると1枚も2枚も劣ってしまいがちな器用貧乏な職業でもある。
ここまでの説明だと、勇者に対し憧れの感情なんて抱かないのでは?確かにそうだ。しかし勇者という職業に就く事による特典が勇者を人気且つ最高難易度の職業に仕立てあげていると言っても過言ではない。
最初に説明した様に勇者は【国家資格】なのだ。
つまり国が、その知識や技術を一定の水準以上である事を認定しており、且つ、勇者のみが許されている業務独占資格である。
では勇者に就く事で得られる特典とは何なのか?
1・給金は国から支給される。
2・住まいは国が用意される。
3・買い物は全て三割引で出来る。
4・福利厚生がしっかりしている。
5・引退後年金が毎月支給される。
どうだろうか?この安定感足るや凄く魅力的ではないだろか?確かに良く言われる冒険者に比べると実入りは少ないかもしれないが、冒険者というのは収入の変動が激しく不安定な職業である。
まして高給取りの冒険者となると、ほんの一握りに過ぎず、命の危険度は一般の冒険者に比べると更に増すだろう。しかも老後の保障は何1つ無いに等しい。
ここまで言うと冒険者とは余り良い職業とは言えないのでは?
いやいや、それも間違った考え方である。確かに冒険者という職業はその危険度に応じて収入に差があり、尚且つ不安定な職業であると言えよう。しかし冒険者という職業はそれを加味したとしても、勇者にも負けず劣らずの人気の職業なのである。
それは何故か?何故ならば冒険者という職業は夢があるのだ。
冒険者には各々の身の丈に合わせたランクという物が存在しており、ランクに合わせた依頼を遂行する事により報酬を得る仕組みとなっている。細かい内容はここでは割愛するが。
勿論ランクが高ければ高い程、得られる報酬も高くなるが、その分だけ依頼内容の難易度が上がり危険度も増す。だが、そんな高ランクの冒険者等は先程も説明した通り、ほんの一握りにしか過ぎない。
では夢があるとはどういう意味か?その答えは迷宮である。この世界には幾つかの迷宮が存在する。今現在確認されている迷宮だけで47ヵ所ある。その中でも完全攻略されている迷宮の数は、たったの7ヵ所だけである。
迷宮の中には魔物が存在し、更には侵入者を阻む為の罠も設置されており、攻略の難易度を上げているが、その危険度を省みずとも迷宮には冒険者の夢が詰まっている。それは何か?金銀財宝であり、魔法道具であり、迷宮核である。それらを無事に持ち帰ってくるだけで一生遊んで暮らせるだけの価値がそれらにはあるのである。
正に夢である。
おっと、話が横に逸れてしまった様である。どうだろうか?君ならどちらの夢を選ぶ?安定感抜群の最高難易度の職業である勇者か?人生一髪逆転の危険度最高難易度の職業である冒険者か?はたまた別の職業を選ぶのか?
その答えは貴方自身が選ぶといい。答えは決して1つではないのだから・・・・・・。
しまった!このままだとこの物語の話の主旨がずれてしまうな。
では今回は折角なので、勇者を目指す若者に着目して物語を見ていくとしよう。それで宜しいかな?神達よ。




