表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代妖怪奇譚  作者: かざふりょじん(風吹旅人)
【百鬼夜行】編
168/238

【百鬼夜行】(137)

斜めの横顔を見せながら、タケハルこと、二川ふたがわ長治たけはるはギターの一音目を出した。

そのあまりに無造作な様が、憎らしいほど決まっている。その後方では、パーカッションのダンロクがスローンに腰を下ろして、ドラムやタム、シンバルを叩いては音を確かめていた。


そして、明転。


「ワー」という、一際ひときわ大きな歓声に包まれ、照明のなかにタケハルとダンロクの姿が浮かび上がる。


その後ろから、弾む毬のように飛び出したのが、コーギーこと、『Cogy & Stray Dogs』の小菊だった。


小菊は見た目こそ童顔だが、長い手足に恵まれた高い身体能力で自在にステージを駆け回ることができた。


スタンドのマイクをひっさらうように握りしめると、


「イェー!みんな!楽しんでる!あたしは、サイコーだよ!!」と大きく跳ねた。跳ねる同時に身体をそらして足を折り曲げたから、まるで1メートルも飛び上がったように見える。


「ワーッ!」と今までのどのバンドより大きな歓声が沸き起こった。


「まるで、あの頃のマリーだな・・・」


モニターに映るステージを見ながら、コーヘイこと、美次みつぐ航平こうへいがボソリと呟く。


それを耳にした梨田なしだ祐璃ゆうりは、コーヘイの心が、マリーと一緒に『ロブ・スティンガー』で演奏していた40年前に飛んでいることを知った。

ステージに飛び出した女性が、観客の心を瞬時につかんでしまう、その光景は、40年前もここハンガーロフトで起こった出来事だったのだろう。


ステージのコーギーは、MCの紹介も待たずに、いきなりマイクに向かって、


「1・2」と合図する。


すると、ギターのタケハルが鋭いエレキ電子音で切り込んだ。そして、その少し後について、ダンロクのパーカッションがリズムを刻む。


まずは、タケハルのソロバートだ。


キュイン、ギュインと血のたぎるような音を響かせて、観客に自分のソウルをねじり込むようにギターが鳴きに鳴く。


それをバックにコーギーがバンドメンバーの紹介を始めた。


「ヘイ!ウィアー、コーギー・アンド・ストレイドッグス。メンバーの紹介するよ。ギター、タケハル!!」


それに答えるようにタケハルが右手を高々と上げる。


「ワー」という観客の歓声に押されて、コーギーは、


「パーカッション、ダン」と叫ぶと、ダンロクの叩くドラムとシンバルが、マシンガンのような音の弾丸を降り注ぐ。


「そして、あたしが、コーギー!みんな熱くなろうよ!イェー!!」


観客の熱気を一身に受け止めるように、コーギーは、両の手を高く差し上げた。

そして、すうっと大きく息を吸い込んだ後、マイクを口もとに寄せて、澄んだ高音でメロディを流し込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ